2026.05.12 夜 気負わず楽しむ、目黒の和食コース@和創作 太 居酒屋・定食 目黒・白金・五反田 5000円〜9999円 ★★★☆☆ 2006年創業、目黒で長く親しまれる和食店『和創作 太』。店主は柴太一氏、居酒屋やフランス料理店での経験を経て、自身の料理を表現する場としてこの店を構えた料理人だ。料理の軸はあくまで和食に置きながら、ソースの組み立てや酸の使い方に、時折フレンチのニュアンスが顔を出す。おまかせのコース一本で、その時期の食材を少しずつ楽しませる構成。大きく構えるのではなく、普段の食事の延長線上に料理人の工夫を添える、そんな距離感の店である。 「八寸」始まりは、季節の小品を少しずつ盛り込んだ八寸から。モロヘイヤや岩もずくのぬめり、蓮根の歯切れ、三つ葉の青い香りで序盤を整えつつ、黒バイ貝の肝のコク、稚鮎のほろ苦さ、お茶のカステラの遊び心へとつないでいく。枝豆の素直な甘みも含め、食材の取り合わせで季節感を見せる構成。 「お椀」淡い白身の旨味に、ホワイトアスパラの甘みを合わせる。あいなめのしっとりした食感と、洋野菜のやわらかな甘さ。和の出汁の中にホワイトアスパラを置くあたりに、この店らしい編集がある。味の輪郭は穏やかで、自然にコースの流れに収まっていく。 「お造り」初鰹の赤身の旨味と、イサキの炙った皮目の香ばしさ。生と炙りで緩急を作る構成で、すだちを軽く合わせれば後味も締まる。安心して食べられる仕上がりだ。 「煮物」煮穴子の柔らかさ、新ごぼうの土の香り、飛龍頭のふんわり感。出汁を含ませる仕事は丁寧で、過不足なくまとまっている。穴子の甘みとごぼうの香りが素直に響く一皿。 「冷鉢」冬瓜に出汁を含ませ、毛蟹の甘みを重ねる。新生姜の香りが後味を締め、全体を重たくさせない。蟹の旨味を強く押し出すというより、冬瓜の透明感でまとめる構成。 「焼物」しっとり火入れした「どんぐり豚」のリブロースに、煮詰めたトマトコンソメと白ワインビネガーのソース。フレンチの経験がわかりやすく出る一皿で、脂に酸を合わせる設計。和食の流れの中で、少し景色が変わる。 「食事」桜海老の香ばしさと、サクラマスの幽庵焼きの甘辛い香りで満足感を作るご飯。青菜のほろ苦さも混ざり、最後に食べた感を残してくれる。 「甘味」最中仕立ての甘味。ヘーゼルナッツとチョコのコクに、甘夏の酸味を合わせる。和の形に洋の味わいを挟んだ、わかりやすい締め。 『和創作 太』は、和食の流れの中に少しずつ洋のニュアンスを加えながら、食べやすくまとめる一軒。全体に丁寧に作られており、素材の持ち味を損なわない安心感がある。一方で、強く記憶に残る一皿というより、流れの中で無理なく楽しむコースという印象。目黒で気負わずに和食のコースを食べたい時には、選択肢に入ってくる店だ。ご馳走様でした。 — 和創作 太050-5590-3689東京都品川区上大崎2-26-5 メグロードビル B1Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1316/A131601/13034770/