2026.05.10 昼 香りで持っていかれる、マッシュルームの一枚。@PIZZA MAFIA TOKYO イタリアン・ピザ 東急沿線 3000円〜4999円 ★★★★☆ 桜新町の住宅街に溶け込むように佇む『PIZZA MAFIA TOKYO』。2018年創業、オーナーは元IT企業役員という異色の経歴の持ち主だ。飲食畑一筋ではない視点が、この店のカフェのような明るさや、家族連れまで受け止める懐の深い空気に繋がっているのかもしれない。一方で、ピッツァの芯にあるのは本格派。職人には「SAVOY」出身者が揃い、空間は軽やか、味はしっかり本気という一軒だ。 まずは「ニョッキとベーコンのフリット」から。表面をカリッと揚げたニョッキに、ベーコンの塩気とチーズの旨味をまとわせた一皿。噛めば中はもっちり、外は香ばしく、ピザ前の助走としてはかなり優秀。つまみのつもりが、気づけば手が止まらない。 この店のピザは、高温の薪窯で一気に焼き上げるスタイル。コルニチョーネは豪快に膨らみ、表面は香ばしく、中はもっちり。特徴的なのは生地への塩の効かせ方で、ランダムに訪れる強めの塩気が小麦の甘みを引き上げる。単調になりがちなピザに、しっかり輪郭を作っている印象だ。 「マルゲリータ」は、王道だからこそ技術が透ける一枚。酸味を立たせたトマトソース、ミルキーなモッツァレラ、そこへ薪窯由来の焦げ香が加わることで、一気に立体感が生まれる。生地の塩気が全体を引き締め、最後まで勢いが落ちない。 「THE PIZZA MAFIA(マッシュルームのビスマルク)」は、この店の代名詞と言っていい。焼き上げたピザの上に、生マッシュルームをこれでもかと削りかける大胆な構成。まず香りがすごい。噛む前から森の香気が立ち上がるレベルだ。そこへ温泉卵を崩せば、黄身のコクがマッシュルームの土っぽい旨味を包み込む。きのこ好きなら確実に刺さるやつ。 「クアトロフォルマッジ」は、蜂蜜を添えたクラシックな構成ながら、塩の効いた生地との相性が抜群。ゴルゴンゾーラの刺激を、モッツァレラやタレッジョの乳脂肪が柔らかく受け止める。蜂蜜を垂らした瞬間、一気にデザート感覚へ転調するのも面白い。 生地、火入れ、塩、香り。その基本設計に、料理人の意志をしっかり感じる。特に塩気の設計は好みが分かれるポイントかもしれないが、この店らしさとして強く記憶に残る。カフェみたいな軽やかな空間で、ここまで本格的な薪窯ピザを楽しめる店は意外と少ない。桜新町で、ピザ欲をしっかり満たしたい日に頼りたくなる一軒だ。ご馳走様でした。 — PIZZA MAFIA TOKYO03-6873-4956東京都世田谷区桜新町2-2-11https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131707/13225183/