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2026.05.05 昼

近代日本のホテル文化を映す洋食@レストラン カスケード

洋食

箱根・湯河原

10000円〜29999円

★★★★☆

箱根・宮ノ下のクラシックホテル、富士屋ホテルの中にある洋食レストラン『レストラン カスケード』へ。

舞台は、1920年に建築された旧宴会場「カスケードルーム」。1934年には100名収容の舞踏・宴会場として改修され、庭園の小滝が見えることから、小滝を意味する「カスケード」と名づけられたそうだ。壁面には箱根の自然や富士山を描いたステンドグラス、欄間には東海道の旅や日本の名所、伝統行事を表裏同じ絵柄で彫った職人技。ここで食べる洋食は、料理というより、近代日本のホテル文化を味わう時間に近い。

さっそく料理に入っていこう。メニューにもまた、近代日本のホテル文化を感じる。フランス料理を源流にしながら、日本の食卓に寄り添うように形を変えてきた洋食の数々。銀器、白皿、ソースポット、薬味箱までがきちんと役を持ち、皿の上だけでなくテーブル全体で時代を演出してくれる。

まずは「フライドポテト」。太めにカットされたポテトは、外側に軽い香ばしさ、内側にホクホクとした甘み。塩気も過不足なく、こういう何気ない一品ほど体は正直なものだ。

「スモークサーモン」は、鮮やかなオレンジ色が白皿に映えるクラシックな一皿。しっとりとした舌触りに、スモークの香りがふわり。レモンの酸味、ラディッシュの辛味、ケッパー的な塩気が脂を切り、最後は軽やかに着地する。

印象に残ったのは「コンソメスープ」。琥珀色の液体から、牛の旨味がまっすぐ立ち上がる。口に含むと、力強いアタックがありながら、後味は思いのほか澄んでいる。クラシックなホテル洋食において、コンソメは料理人の名刺のようなもの。

「真鯛のデュグレレ風」は、白身魚にトマト、白ワイン、香味野菜のニュアンスを重ねたフランス料理の古典。ソースにはクリームのまろやかさもあり、クラシックホテルの洋食らしい品の良さを感じる。

「カニクリームコロッケ」は、ちゃんとカニクリーム。衣は細かく、きつね色に揚がり、ナイフを入れると中からなめらかなベシャメルが顔を出す。蟹の風味、クリームのコク、タルタル的な酸味のバランスがクラシック洋食の王道をいく。

そして名物の「ビーフカレー」。富士屋ホテルで不動の人気を誇る一皿で、コンソメを贅沢に使い、牛乳で煮出したココナッツミルク、ピクルスの漬け汁を隠し味にし、完成したソースを数日寝かせてまろやかに仕上げるという。実際、ソースはトマトのニュアンスを思わせる酸味を含みつつ、ねっとりとした粘度で舌に絡む。スパイスの刺激で攻めるのではなく、コクと丸みで包み込む欧風カレー。寄木細工風の薬味箱に並ぶ薬味を少しずつ合わせれば、甘味、酸味、香味が重なり、クラシックな味わいに小さな変化が生まれていく。

総じて、ここで味わう洋食には、富士屋ホテルが積み重ねてきた時間の厚みがある。フランス料理を源流にしながら、日本のホテル文化として育ってきた洋食の輪郭。それを、皿の上だけでなく、ステンドグラス越しの光、欄間彫刻の陰影、銀器の重みまでが一緒になって伝えてくれる。ここでの食事は、ただ美味しいものを食べる時間というより、近代日本のホテル文化に身を置く体験そのもの。クラシックホテルで洋食を食べる、その豊かさごと楽しみに行きたい一軒だ。ご馳走様でした。

レストラン カスケード
050-5589-2457
神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下359 富士屋ホテル
https://tabelog.com/kanagawa/A1410/A141001/14080004/

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