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2026.04.29 夜

青森の味覚を味わい尽くす@はた善

居酒屋・定食

青森・東津軽・八甲田山

10000円〜29999円

★★★★☆

青森市新町の夜に、青い暖簾を掲げる『はた善』。26年目を迎えるこの店は、地元の生産者や仲卸とのつながりを生かし、津軽海峡をはじめとした鮮魚、八甲田牛、旬の素材を届ける居酒屋だ。観光客にとっては青森の味覚を一気に学べる場所であり、地元の人にとっては普段着のご馳走に出会える場所。なるほど、これは愛されるわけである。

料理の軸は明快だ。地元の魚介を中心に、素材の力を素直に見せる。刺身、煮付け、焼き物、味噌焼き、バター焼き。手法は王道だが、観光地的な説明過多に寄せすぎず、大将の青森話とともに皿が進むところに魅力がある。

日本酒はキンキンに冷えた竹筒で登場し、青森の銘酒と海鮮の組み合わせを気分から盛り上げてくれる。こういう演出にみな弱い。

「本まぐろ刺身」は、青森と聞いて真っ先に期待してしまう主役のひとつ。脂の甘み、赤身の酸、口どけの余韻がきちんと揃い、青森に来たぞ、という気分を最短距離で満たしてくれる。

「煮しゃこ」は、剥く体験まで含めて楽しい。殻と格闘し、指先で身を取り出し、ようやく口に運ぶ。このひと手間が旅先の食卓を濃くする。海老とも蟹とも違う淡い甘みが、噛むほどにじわりと広がる。

「あわびバター焼き」は、蝦夷鮑らしい力強い弾力に、バターのコクを重ねた贅沢な一皿。磯の香りと乳脂肪の甘みが合わさり、和食の素材が一気に洋の顔を見せる。さらにリゾット付きというのが心憎い。鮑の旨味を含んだソースを米が受け止め、最後の一口まで余韻を逃がさない。

「帆立貝味噌焼き」は、いかにも青森らしい郷土の香りが漂う。貝殻の中で帆立、味噌、卵が一体となり、焼き目の香ばしさが湯気とともに立ち上がる。帆立の甘みを味噌の塩気が引き締め、卵のまろやかさが全体を包み込む。日本酒との相性は言うまでもない。

「きんきんの煮付け」は、まず呼び名がいい。一般的にはキンキと呼ばれる高級魚だが、青森では親しみを込めるように「きんきん」と呼ばれるそうだ。甘辛い味付けをまとった身はほろりとほどけ、皮目や骨まわりにはコラーゲンのぷるぷる感。脂の甘みもしっかり残っており、青森の夜に熱々の煮魚というだけで理屈が弱くなる。ご飯が欲しくなる危険なやつだ。

締めの「おにぎり」は、梅と鮭。魚介を食べ、酒を飲み、最後に米へ戻る。この着地がとてもいい。海苔の香り、米の粒立ち、具材の塩気。青森の名産をひと通り楽しんだあとに、こういう普段着の味が出てくると妙に沁みる。

お土産まで持たせてくれるあたり、最後まで人懐っこい。

『はた善』は、青森の食材、地酒、大将の語り、土地の空気をまとめて楽しむ店だ。鮪、鮑、帆立、きんきんと、青森らしい名産をわかりやすく並べながら、そこに居酒屋らしい温度と距離感がある。大将から青森の歴史を聞き、地元の魚介をつまみ、冷えた竹筒の酒を飲む。なるほど、旅の記憶とはこうやって作られるのだ。ご馳走様でした。

はた善
017-773-0241
青森県青森市安方2-17-15 ライオンズマンション新町通 1F
https://tabelog.com/aomori/A0201/A020101/2000414/

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