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2026.04.26 昼

黄金色の軽衣に包まれた、分厚い一枚@山ぼたん

とんかつ・揚げ物

上田・小諸・蓼科・諏訪

3000円〜4999円

★★★★☆

諏訪湖を望むロケーションに構える、とんかつの名店『山ぼたん』。2010年オープン。屋号は父の店を継いだものだという。イノシシと豚は同じルーツを持つ近縁の存在。野生か家畜か、その違いで表情は変わるが、肉というテーマでは地続きの関係にある。だからこそ、「牡丹」と呼ばれる猪の名を、とんかつ専門店が掲げるのは——偶然か、あるいは必然か。いずれにせよ、肉への敬意を感じさせる名前であることに変わりはない。

主役は岩手県産の「岩中豚」。これを低温でじっくり三度揚げする。注文から時間はかかるが、ここでは待ち時間も料理の一部。柔らかい中心部だけを使ったというパン粉が、淡い黄金色の衣を作り上げる。いただいた「ロースとヒレかつ定食」は、うっすら桃色を帯びた断面が実に美しい。ロースは脂の甘みと赤身の旨味が重なり、ヒレはしっとり繊細。香ばしさで押し切るのではなく、肉の水分を乱さず残すような仕上がりだ。

調味料の設計も面白い。まずは塩胡椒でシンプルに頬張り、肉の輪郭を掴む。続いて岩塩で脂の甘みを引き出し、醤油と山葵を合わせれば、一転して刺身のような軽やかさすら感じさせる。そして最後はソースと辛子。ここで白米との距離が一気にゼロになる。ご飯は地産の米で、やや硬めの炊き上がりが豚の脂を受け止める。味噌汁は岡谷市喜多屋醸造を使い、信州安曇野産の山葵も脂をすっと切る名脇役。こういうこだわりに、店の美学が宿る。

完成度は高い。そして何より、圧倒的なボリュームに驚かされる。低温三度揚げゆえに提供まで時間はかかるが、目の前に現れた一皿を見れば、その待ち時間にも納得がいく。分厚い肉、山盛りのキャベツ、脂を受け止める白米。諏訪湖を眺めながら、淡い黄金色の衣に箸を入れる。この満腹感まで含めて、『山ぼたん』を訪れる理由がある。ご馳走様でした。

山ぼたん
0266-24-5030
長野県岡谷市湊5-13-7 ビレッジ2F
https://tabelog.com/nagano/A2004/A200404/20011194/

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