2026.04.24 夜 天空で味わう、東京仕立てのタイ料理@マンゴツリー東京 世界料理(アジア) 東京・日本橋 10000円〜29999円 ★★★★☆ 丸の内の摩天楼、その頂に構える『マンゴツリー東京』。 バンコク発祥の名店が世界へ広がる中で、東京という都市に合わせて進化させた“モダン・タイ・キュイジーヌ”の象徴的存在だ。35階から望む夜景、白いクロス、華やかな盛り付け。舞台は洗練されているが、料理の芯にはタイ料理らしい辛味、酸味、甘味、香りの強さがしっかり残る。さらに車海老、伊勢海老、近江牛といった日本の高級食材を織り交ぜることで、タイ料理を東京らしいハレの料理へと引き上げている。 コースは定番のタイ料理をベースにしながら、その一皿一皿に“格上の素材”を差し込んでくる構成。「ミャンカム」は胡椒の葉に具材を包み、ナッツやココナッツのコクに甘辛いソースが重なる一口。香りのレイヤーで食べさせるスターターだ。 「ヤムウンセン」は春雨の軽やかさにシーフードの旨味、そして遠慮のない辛味と酸味。さっぱりした顔をして、しっかり攻めてくるのがいい。 「ラープガイ」はミントやハーブの清涼感の奥に唐辛子の熱が潜み、挽肉の旨味とともにじわじわ広がる。思わず水に手が伸びるが、またすぐ一口いきたくなる。 「トムヤムクン」はクリーミーな仕立てでありながら、レモングラスやライムの酸味がしっかりと輪郭を作る。車海老の旨味がスープに溶け込み、コクとキレの両立が見事。 「ヌアヤーン」は近江牛のグリル。肉そのものの力強さに、ドライチリソースでタイの輪郭を重ねる一皿で、噛むほどに旨味とスパイスが交錯する。 そして主役の「クンパッポンカリー」。伊勢海老を使った贅沢な構成で、濃厚な卵とカレーソースが甲殻類の甘みを包み込む。ここで炊き立ての米が添えられるのがいい。香り立つ米にソースを絡めれば、伊勢海老の旨味もスパイスの余韻も余すところなく受け止めてくれる。 締めの「カオニャオマムアン」は、もち米のねっとりとした甘みとマンゴーのフレッシュな酸味、ココナッツミルクのコクが重なり合う。食後にふっと緊張をほどくような一皿で、コース全体を穏やかに着地させる役割を果たしている。 タイ料理の本質である香りと辛さをきちんと残しながら、日本の高級食材と空間に合わせて再構築する。そのバランス感覚こそが『マンゴツリー東京』の価値だろう。突き抜けた個性というよりは、完成度の高さと安心感。その中にしっかりと“らしさ”がある。丸の内でタイ料理を選ぶ理由として、十分に成立している一軒だ。ご馳走様でした。 — マンゴツリー東京050-5868-1321東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング 35Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13004078/