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2026.04.23 夜

重箱の外にある、鰻の魅力@新宿うな鐵 はなれ

新宿・代々木・大久保

5000円〜9999円

★★★★☆

歌舞伎町の夜に、ただ鰻を食べるのではなく、鰻を分解して楽しませる店がある。『新宿うな鐵 はなれ』だ。2019年に開いた“はなれ”だが、母体となる新宿うな鐵は歌舞伎町で長く暖簾を守ってきた老舗。鰻串という文化を今の街場にしっかり接続している一軒だ。三代目の花澤健太氏が本店の味を次代へつなぐために生んだ店でもある。高級魚を重箱の中だけに閉じ込めず、串にして、酒の肴にして、頭から尻尾まで使い切る。

この店のおもしろさは、蒲焼の完成度そのもの以上に、鰻を部位ごとの言葉で語らせるところにある。厳選した国産鰻を生きたまま仕入れ、自社で捌き、一本一本を串打ちし、酒に合わせて甘さを抑えた辛口のタレで仕上げる。普通の鰻屋では主役になりにくい部位たちが、ここではきちんと一軍だ。ちなみに、「くりから」は背の身を巻き付けた姿が倶利伽羅剣に似ることからそう呼ばれるが、名前からしてすでに旨そうなのがずるい。料理名の由来まで酒の肴になる店。

まず「串巻き」。見た目は骨の線が立つ、ほとんど造形物みたいな一本。口に運ぶと、最初に来るのは塩気、その後からじわっと鰻の旨味。パリパリというより、細い骨の香ばしさを噛み砕いていく感覚が楽しい。

「白ばら」は一転して脂のステージ。焼き目は軽やかなのに、噛んだ瞬間に脂がほどけて、鰻という魚の艶やかさをいちばんストレートに伝えてくる。

「くりから」は名前負けしない。外側の香ばしさから入って、内側のふわりとした身と脂へ流れていく。わさび醤油で輪郭が締まり、後味がきれいだ。

「ひれ」はニラを巻き込んだ香りの設計が秀逸で、単なる珍味で終わらせない。

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「かぶと」は食感の面白さ込みで食べる一本で、鰻一匹を余さず使うこの店の哲学がいちばん見えやすい気がする。

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串の途中で差し込む「八幡巻き」もいい。八幡巻きは京都・八幡に由来する料理名で、本来は牛蒡を鰻などで巻く仕事だが、この店では鰻の旨味と牛蒡の香りがきっちり手を組む。土の香りを持つ根菜と脂のある魚は相性がいい。その理屈を、ちゃんと美味しさとして着地させているのが偉い。

「うざく」もまた然りで、名の由来は諸説あるものの、ざくざく切った鰻や胡瓜を思わせる軽妙な名前が似合う一皿。甘辛い鰻に酢の酸を当てることで、脂を洗いながら旨味だけを次に運ぶ。串で温度と脂を楽しみ、酢の物で流れを作る。

そして締めの「うな丼」。ここまで部位の個性を散々見せつけておいて、最後は王道に戻る流れがいい。ふっくらと焼き上げた身、甘さを引きずりすぎないタレ、米を巻き込みながら広がる脂。串で鰻の複雑さを学んだあとに食べると、丼のわかりやすさがむしろ沁みる。さらにお吸い物まで添えば、散らばっていた印象が最後にすっと整う。

はなれの価値は、うな重一本勝負の店では見えない鰻の立体感を見せてくれること。歌舞伎町で鰻を“食べる”だけじゃなく、鰻を“知りながら飲む”なら、なかなかに魅力的な一軒だ。再訪の理由が串の名前の数だけある店。ご馳走様でした。

新宿うな鐵 はなれ
050-5456-1437
東京都新宿区歌舞伎町1-22-2
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13239102/

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