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2026.04.18 夜

旨さに、ちゃんと緩急がある。@焼鳥なかむら

焼鳥・焼きとん

赤坂・永田町・溜池

10000円〜29999円

★★★★☆

2024年6月に創業した虎ノ門の『焼鳥なかむら』。店主の中村祥啓氏は「とり澤」グループで経験を積んだ人物だが、ここで描く世界観はまた別のもの。串ごとの火入れ、コース全体の緩急、合間に差し込む一品料理まで含めて、店としてのオリジナルの輪郭をきちんと持っている。焼鳥という料理は、一本の旨さだけでも語れるが、この店はその旨さをどう繋いでいくかまで意識が届いているのがいい。

その流れは、序盤からすでに見えている。「レバーペースト」は、ねっとりと濃厚でありながら、口当たりは重たさだけに寄りかからない。レバーの旨味をしっかり感じさせながら、後味には余白を残すあたりに、最初の一皿としての役割以上の完成度がある。

続く「蓮根餅とフルーツトマトのお浸し」もいい。もっちりとした蓮根餅の質感に、フルーツトマトの甘みと出汁の含み方が重なり、口の中を整えながら次の串へ自然と気持ちを向かわせる。

串に入ると、この店の持ち味がさらにわかりやすくなる。香ばしさを立てながら、中の水分は置き去りにしない。表面の焼きで食欲を引っ張り、噛んだ瞬間にその部位らしさをきちんと伝えてくる。焼鳥って、結局はこのひと口の説得力なんだよなと思わせる焼きだ。

「胸肉」

「スネ肉」

「筍」

「つくね」

「うずらの玉子」

「レバー」

「アスパラ」

ここで入る「空豆とぼんじりとご飯」がまた印象的だ。ほくりとした空豆の甘み、ぼんじりの脂の旨さ、そこに焼いた香りを受け止めるご飯。構成はシンプルだが、香ばしさと脂の余韻を米が回収することで、ひと皿としての完成度がぐっと上がる。これうまい。焼いた香がご飯に落ちるだけで、どうしてこんなに抗えないんだろう。

「上もも」

「ささみ」

「丸ハツ」

「手羽先」

「ちょうちん」

締めの「そぼろ丼」も抜かりがない。しっかり入った下味がまず印象に残るし、そこへ軟骨のコリコリした食感が加わることで、丼としての輪郭がぐっと立ち上がる。旨味だけで押し切らず、食感で記憶に残してくるのがいい。満腹のはずなのに、こういう丼はするすると消えるから不思議だ。

続く「鶏白湯スープ」も、濃度を持ちながら後味はきれいで、最後の着地としてよくできている。

『焼鳥なかむら』の魅力は、串の完成度だけで押し切らないところにある。一品料理、串、締めまで含めて、ひとつの流れとして食べさせる設計がある。焼鳥をただ連ねるのではなく、食事として組み立てる意志があるのだ。その意志が、焼きの香りにも、皿の運びにも、ちゃんと表れている。虎ノ門で焼鳥を食べる夜、この一軒はしっかり候補に入れておきたい。ご馳走様でした。

焼鳥なかむら
03-3506-3710
東京都港区西新橋2-15-6 FACE虎ノ門 1F
https://tabelog.com/tokyo/A1308/A130802/13299397/

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