2026.04.15 昼 めい乃発、手土産文化のアップデート@makimaki 寿司 六本木・麻布・広尾 3000円〜4999円 ★★★★☆ 麻布十番から新しい手土産文化を発信する『makimaki』。ここは高級鮨の文脈を、もっと軽やかに、もっと日常へと引き寄せるために生まれた細巻き鮨のテイクアウト専門店だ。おにぎりは大衆のもの、寿司は少し背筋を伸ばして向き合うもの。その二つのあいだに横たわっていた距離を、細巻きというフォーマットで見事に埋めにきた印象がある。 店の見せ方もまた巧みだ。細巻きをただ持ち帰るのではなく、手土産として成立するようにきちんと編集している。箱を開けた瞬間の高揚感があり、差し入れにもホームパーティーにも自然と馴染む。しかも面白いのは、見た目の美しさだけでなく、冷蔵の仕組みまで組み込んでいること。持ち運びや温度管理まで含めて、商品としての完成度を引き上げているのだ。寿司をコースの中から解き放って、贈る、持ち歩く、つまむという新しい場面へ連れ出している感覚。 まずはその仕組みから説明しよう。『makimaki』は、店の編集力をそのまま箱にした「makimaki BOX」と、気分で選べるアラカルトの二本立て。BOXは「鉄火」「トロたく」に加えて日替わり2種、この日は「カッパ」と「生海老マヨ」。鮪で軸を作り、トロたくで脂と食感のリズムを加え、そこへ野菜ものとマヨ系を差し込む。この構成が実にうまい。江戸前の流れを踏まえながらも、きっちり日常に着地させる編集感覚が光る。 アラカルトでいただいた「たまごマヨ」と「小肌ガリ大葉」も、その振れ幅をよく物語る。「たまごマヨ」は玉子の甘みとマヨネーズのコクが素直に重なり、肩の力を抜いて楽しめる一本。一方の「小肌ガリ大葉」は、彼女のスペシャリテのひとつでもあるだけに、やはり選びたくなる。締めた「小肌」の旨味に、「ガリ」の甘酢がきゅっと輪郭を与え、「大葉」の香りが後味をさらっていく。細巻きという小さなフォーマットの中でも、江戸前らしい仕事と香味の設計がちゃんと見えるのがいい。 ここは細巻きを売る店という説明でも間違ってはいない。でも本質はもっと別のところにある。寿司をもっと自由に、もっと軽やかに、それでいて品よく届けること。その実験が、すでにかなり上手くいっている。自分のために買う昼でもいいし、差し入れでも強いし、手土産としての景色もいい。今後の手土産事情を少し変えてしまいそうな一軒。麻布十番に、また面白い選択肢が増えた。ご馳走様でした。 — makimaki東京都港区麻布十番2-19-1 オフィスエイトビル 1Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1307/A130702/13320809/