2026.04.12 昼 焼きの力で魅せる、王道ナポリピッツァ@ピッツェリア ファッブリカ 1090 イタリアン・ピザ 東急沿線 3000円〜4999円 ★★★★☆ 御嶽山の商店街に店を構える『ピッツェリア ファッブリカ 1090』。2011年に元住吉で創業し、ビブグルマンや百名店でも知られた実力派が、2022年にこの街へ移ってきた。店名の「1090」は徳丸裕也シェフの名前に由来。フレンチを起点に、フランス、イタリア、そして「サヴォイ」「聖林館」へと連なる経歴を持つ徳丸シェフだけに、ここで出てくるピッツァは単なる粉ものではない。薪窯の火力、生地の設計、具材の置き方まで、全部が料理として組み上がっている。王道のナポリピッツァを、焼きの力でくっきり見せる店だ。 まずはセットの「サラダ」から。脇役にしておくには惜しい一皿だ。葉野菜の軽やかな苦味に、胡瓜や人参、紅芯大根の彩りと食感が重なり、口の中をきれいに整えてくれる。ピッツァの前に野菜で舌を起こす流れがいい。薪窯料理の前はどうしても身構えるが、この一皿で胃袋が自然と準備を始める。 「マリナーラ」は、この店の生地と火入れの個性が最も伝わる一枚。見た目は赤一色に近い潔さだが、食べると情報量は多い。トマトソースは水分をしっかり抱えていて、口に入れた瞬間にじゅわっと広がる。そのあとを追うように大蒜の香り、バジルの青さ、オレガノの乾いた余韻が重なる。高めに立ち上がったコルニチョーネは香ばしく焼け、中はむっちり。ソースを受け止めるための設計がきちんと機能していて、耳まで含めて完成している。 「クアトロ フォルマッジョ」は、白の濃度で押し切る一枚。表面を覆うチーズはふつふつと泡立ち、香りだけでもう強い。だが本当の魅力はその先にある。乳の甘み、塩気、油脂のコクが順番に現れ、重なり合いながらも重たく沈まない。薪窯の熱で表面に焼き色がつくことで、単なる濃厚さではなく香ばしさが輪郭を与えている。はちみつを添えれば甘みが全体を丸くまとめ、塩と甘のコントラストがさらに立つ。 「生ハムとルッコラ」は、焼き上げて終わりにしない構成が光る。熱々の生地の上に、生ハムのしっとりした塩気、ルッコラの青く辛い香り、さらに削ったチーズのコクが重なる。焼きの熱と、後乗せ食材の冷たさや湿度の対比がそのまま味になるのが面白い。ひと口目は生ハムの旨味が先行し、噛むほどにルッコラの苦味が追いつき、最後に生地の小麦感とチーズの余韻が残る。 『ピッツェリア ファッブリカ 1090』の魅力は、薪窯の力強さを勢いだけで終わらせず、きちんと料理として着地させていることにある。王道を踏まえながらも、焼きと構成で店の個性をつくっているのがいい。御嶽山でピッツァを食べる理由として、十分に強い一軒だ。ご馳走様でした。 — ピッツェリア ファッブリカ 109003-6425-7788東京都大田区北嶺町34-6 中央ビル 1Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1317/A131714/13265988/