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2026.04.10 夜

馬肉の可能性を鍋で知る@そま莉

鍋・おでん

目黒・白金・五反田

10000円〜29999円

★★★☆☆

目黒の坂の途中にある『そま莉』。2014年7月開店、熊本直送の桜肉と郷土料理を軸に据えた一軒だ。女将の河津幸恵氏は熊本県小国町の出身で、都内での接客業を経て、自身のルーツである熊本の味へとたどり着いた。その成り立ちが、この店の個性をわかりやすくしている。馬肉といえば馬刺しのイメージが強いが、『そま莉』はそのポテンシャルをもう一歩先まで見せてくれる。店内は大きな座敷になっていて、くつろいだ空気の中で熊本の味に向き合える。

まずは「ひともじぐるぐる」。熊本の郷土料理をきちんと前口上に置くあたりに、この店の軸が見える。

続く「馬刺し盛り合わせ」は、「ふたえご」「ひれ」「たてがみ」と、部位ごとの質感の違いを素直に楽しませる内容。「ふたえご」は独特の歯ざわり、「ひれ」は端正な赤身、「たてがみ」は脂のコク。それぞれの個性を確かめながら、馬肉の輪郭を静かに掴んでいく流れだ。桜肉という呼び名にも、禁食時代の隠語や春先に旨くなる説など諸説あるが、この淡い色合いを見ていると、なるほど桜の名がよく似合う。

この店の本領は、やはり鍋にある。「イチボ」「霜降り」から始まり、

追加の「カイノミ」「ボタン」まで進むと、馬肉は刺身だけのものじゃないとよくわかる。

さっと火を入れた瞬間、赤身はしっとりとやわらぎ、脂は重たさではなく甘みとして立ち上がる。牛のしゃぶしゃぶとはまた違う軽やかさがあって、するすると箸が進む。

しかも「そばつゆ」と「ポン酢」という組み合わせがいい。前者は出汁の延長で食べさせ、後者は酸で輪郭を締める。どちらも馬肉の持ち味を消さず、後味をさっぱりと着地させるあたりに工夫を感じる。

締めの「特製桜肉ミニカレー」と「馬肉そぼろおにぎり」まで含めて、馬肉の見せ方に幅があるのもこの店の魅力だ。

特に「馬肉そぼろおにぎり」は、馬肉を特別な食材として持ち上げすぎず、日常のうまさに引き寄せた一品で印象に残る。熊本の郷土色を感じさせながら、馬刺し一辺倒で終わらせない。

『そま莉』は、馬肉の定番をなぞる店ではなく、その先の楽しみ方を穏やかに教えてくれる店。馬肉を改めて知るには、ちょうどいい一軒だ。ご馳走様でした。

そま莉
050-5592-8521
東京都目黒区目黒1-4-8 東レクビル 2F
https://tabelog.com/tokyo/A1316/A131601/13173230/

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