2026.04.10 昼 デニッシュと食パン、二枚看板の実力@ブーランジェリー スドウ パン・サンドイッチ・ハンバーガー 東急沿線 1000円〜2999円 ★★★★★ 松陰神社前の住宅街で、存在感を放ち続ける『ブーランジェリー スドウ』。 街に溶け込むベーカリーでありながら、この店でパンを買うこと自体が、もう立派な目的になる。須藤秀男氏が手がけるこの店は、名店で磨いたパティスリーとブーランジェリー双方の技術を土台に、パンをただの主食で終わらせない世界を作り上げている。しかも目指しているのは、難解な美味しさじゃない。誰が食べても素直に「うまい」と思えること。その思想が、ひとつひとつのパンの完成度にそのまま表れている。 この店の凄みを語るなら、主役ははっきりしている。 まずは「デニッシュ」。これがとにかく強い。艶やかな見た目、立体的な層、その時点でもう惹きつけるが、本領は食べた瞬間にある。表面はパリッと香ばしく、層はハラハラとほどけ、内側ではバターの香りとフィリングが折り重なる。リッチなのに重たくなく、甘さや酸味、乳のコク、果実味がきれいに整っているのが見事だ。今回の「ダークチェリーのデニッシュ」も、濃密な果実味にカスタードとサワークリームが重なり、ザクッ、ハラッ、ねっとりと食感も楽しい。パンでありながら、どこかケーキのような完成度まで感じさせる。 そして、もうひとつの主役が「食パン」。これもまた凄い。きめ細かな内相、しっとりした口当たり、ほどけるようなくちどけ、その全部が高水準だ。無塩バターを少しつけただけでうますぎる。 いただいた「角食パン」はしっとりともっちり、「山食パン」は香ばしさと軽やかさが際立ち、どちらも方向は違えど完成度は高い。シンプルに食べるほど、この店の地力が見えてくる。 もちろん、主役以外も抜かりない。この店のパンに通底しているのは、とにかくリッチな作りだ。ただ大ぶりで豪華という話ではなく、バターやチーズ、具材、香ばしさ、それぞれの要素を幾重にも重ねながら、重たさではなく満足感へ着地させるのがうまい。「クロックムッシュ」はベシャメルとチーズ、ハムの旨味にスパイスを重ねて、食事パンとしての豊かさをしっかり感じさせ、 「石臼挽き粉のめんたいパケット」は小麦の香ばしさに明太子とチーズのコクを重ねていく。 「大人のあんドーナツ」も、ハニートーストに蜂蜜、バター、粒あんを重ねながら背徳感ごとご馳走に変えてしまう。どれも方向は違うのに、共通しているのはこの店らしい贅沢さだ。 松陰神社前まで足を運ぶ理由が、ここにははっきりある。「デニッシュ」や「食パン」が看板であることは間違いないが、この店の本当の凄さは、棚全体から漂うリッチさにある。甘いパンも、食事パンも、それぞれの形でちゃんと贅沢。気づけば予定以上に買ってしまうのも、この店では自然な流れだ。完全にやられた。ご馳走様でした。 — ブーランジェリー スドウ03-5426-0175東京都世田谷区世田谷4-3-14https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131709/13098861/