2026.04.07 昼 素材の解像度を引き上げるスイーツ@コミナセマコ デザート 東京・日本橋 30000円〜49999円 ★★★★★ ここまで素材の解像度を高めたスイーツが存在するだろうか。 いや、スイーツに限らず、料理全体を見渡してもそう多くはない。『コミナセマコ』で体験したのは、「苺」をどう捉えるか、その解像度を一段も二段も引き上げていくコース。甘酸っぱい果実としてではなく、香り、色、果肉、種、花、葉といった要素へと分解し、それぞれを再構築していく。苺を“食材”ではなく、“一つの植物”として扱っている。 面白いのは、そのアプローチが“深さ”と“広さ”の両輪で成立していること。果肉や種といったミクロな分解で縦に掘り下げながら、一方で「ショートケーキ」や「苺大福」といった、苺が担ってきた料理としてのポジションにも目を向けている。ただ再現するのではなく、その構造や役割を読み解き、別の角度から再提示することで、苺という存在の輪郭を横にも広げていく。 撮影やメモは禁止。だが、この体験においてはそれが自然に思えてくる。素材と向き合う密度を考えれば、余計な動作は削ぎ落とされていく。結果として、目の前の苺に対する解像度だけが静かに上がっていく。 料理は、タイトルだけを備忘録として。 「赤の香のいちごジャム」「桃色の香の抽出」「種の食感とココナッツ」「緑の香りといちごのスフレ」「潰して完成させる黄色の香り」「いちご大福」「ショートケーキ」「いちごの葉のロースト」「ヘーゼルナッツの気配を纏うジェラート」 苺という食材に対する捉え方が、この体験を境にまるで変わってしまった。これまで当たり前のように受け取っていた“甘酸っぱい果実”という輪郭が、いかに一面的だったかに気づかされる。香り、色、果肉、種、さらには葉に至るまで。それぞれが独立した要素として立ち上がりながら、同時に一つの存在として結びついていく。断片的に理解していたものが、ゆっくりと繋がり、立体として認識されていく感覚だ。苺という素材の見え方が静かに更新された、特別な体験。ご馳走様でした。 — コミナセマコ東京都中央区京橋3-12-7 GINZA EAST SQUARE 1Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1302/A130202/13236398/