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2026.04.01 夜

名古屋で出会う、研ぎ澄まされた寿司の世界@ふじさわ

寿司

名古屋市

30000円〜49999円

★★★★☆

名古屋で寿司を食べる、その体験の解像度をぐっと引き上げてくる『ふじさわ』。カウンターに座った瞬間から、ただ美味しいで終わらない時間が流れ始める。高山の宮大工が手がけた設え、水を張った庭、研ぎ澄まされた静けさ。その中で供される一貫一貫が、気づけば“ここでしか成立しない寿司”だと感じさせる。

県内で腕を磨き続けた大ベテランが辿り着いたのは、技術をなぞるのではなく、自身の美意識で再構築するという境地。醤油や味噌まで自ら仕込み、味の設計を外に委ねない。さらに炭火を使った火入れで香りを重ね、素材・調味料・技法のすべてを自分の文脈で統一している。その積み重ねが、自然とオリジナリティとして立ち上がる。そして気づけば、その仕事は名古屋の職人たちに影響を与える存在になっていた。

つまみの流れも、この店の世界観をよく物語る。「春の貝類と山菜の酢味噌和え」は苦味と酸味で季節を描き、

「鯖寿司」は目の前で炭火にかけることで脂の甘みと香ばしさが一気に立ち上がる。このライブ感ある演出は、多くの職人たちにも広く影響を与えた一手だ。

「浅利」は小鍋で供され、ふっくらとした身に対して出汁の旨味がじわりと染み込み、温度とともに味の輪郭がほどけていく。

「筍と空豆」は食感と香りのコントラストが鮮やかで、

「蛍烏賊と菜の花の湯葉巻き」は焼いた湯葉のパリッとした食感が秀逸、内側の濃厚さを見事に引き締める。

「稚鮎」のほろ苦さで季節の輪郭をなぞる。

「毛蟹の蒸し寿司」は、ふくよかな甘みと米の一体感が際立ち、コースに柔らかな山を作る。

「蓮根饅頭」は出汁の旨味がじんわりと広がり、

「フルティカトマト」の瑞々しい甘みで余韻を整える。それぞれがすでに小さな完成形だ。

握りに入れば、その再構築の思想がより立体的に立ち上がる。「トロたく」から始まる流れは、いきなりこの店の自由さを提示してくる一手。海苔の香りと脂の甘み、そこに刻みの食感が重なり、一貫目から一気に引き込まれる。

「甘鯛の昆布締め」は旨味を幾重にも重ね、

「小肌」は締めの精度が際立つ。

「鯵」は脂と酸の設計が美しく、

「鳥貝」は食感のピークを的確に捉える。

「鰆」は火入れで表情を変え、

「甘海老と平貝」は甘みと歯応えの対比が際立つ。

「剣先烏賊」は胡麻塩で輪郭を整え、噛むほどに旨味が滲み出る。

中盤以降は、濃度のコントロールが光る。「雲丹」はねっとりとしたコクで支配し、

「車海老」は火入れによって甘みを引き出す。

「穴子」はふわりとほどけ、ツメの完成度がそのまま仕事の深さを物語る。

「中トロ」

「赤身」と続く鮪の流れも隙がなく、質と仕立ての両面で魅せる。

そして終盤に差し込まれる「胡瓜と鰹節の手巻き」が実に面白い。瑞々しさと香りのレイヤーで口の中をリセットしつつ、「もろみ味噌」のコクがじわりと余韻を引き戻す。この緩急の付け方こそが、この店の編集力だ。

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「玉子」で締める流れまで含めて、一連の構成として完成されている。

そして最後に、この店の魅力を決定づけるのは人だ。大将と奥様の軽妙なやり取りが、緊張感のある空間に絶妙な余白を生む。店名に二人の名前が刻まれていることを思い出せば、この掛け合いすらも一つの演出に感じられる。美味しさだけでなく、時間そのものが心地よい。そんな体験を求めて、また足を運びたくなる一軒だ。ご馳走様でした。

ふじさわ
052-782-1048
愛知県名古屋市天白区植田山1-111-1
https://tabelog.com/aichi/A2301/A230107/23005527/

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