2026.03.30 昼 鳥の名店が手がける、本気のとんかつ@とんかつ 螢水 とんかつ・揚げ物 岐阜・大垣・揖斐川 3000円〜4999円 ★★★★☆ 岐阜の焼鳥名店「みずき」がプロデュースを手がける一軒、『とんかつ 螢水』。2023年6月創業という若さながら、その完成度はすでに盤石。焼鳥で培われた“火との向き合い方”を、とんかつというジャンルに落とし込み、“厳選銘柄豚とんかつ”を明確な武器として打ち出す。 メニューには複数の銘柄豚が並び、宮城の「贅豚」や岐阜の「ボーノポークぎふ」など、それぞれ異なる個性で誘惑してくる。ちなみに、地元の「ボーノポークぎふ」はヒレでの提案、赤身か脂かの選択を迫られる構図だ。さらに『みずき』と同じ淡海地鶏のチキンカツまで揃い、迷いは深まる。だが最終的にはロースを選択。脂こそこの店の真骨頂、その一点に賭けて「上ロース」と「メンチカツ」の組み合わせに着地した。 主役の「上ロース」は、低温でじっくり火入れされたことで、ほんのりロゼ色の断面を持つ。噛み締めれば赤身のクリアな旨味が広がり、その直後に脂がすっと溶けて消える。この脂、甘くて軽い。衣はほんのりと色づきながらサクサクと軽快で、油の香りすら旨味として成立している。まずは塩で、その輪郭を確認。クリスマス島の塩が脂の甘みを引き出し、素材の純度を一段引き上げる。その後に粉末醤油で香ばしさを重ねる流れも見事にハマる。 「メンチカツ」は玉ねぎの甘みが前面に出て、肉のコクに対して軽やかな印象を与える仕上がり。この緩急がいい。 「豚汁」は脂の旨味をしっかり内包しながら味噌でまとめる完成度。そして「富山県産コシヒカリ」。注文が入ってから土鍋で炊き上げるスタイル。 だからこそ、このタイミングでの提供になる。立ち上る湯気、艶やかな粒立ち、一口目から甘みがふわりと広がる。この米、とんかつの脇役というには存在感が強すぎる。 この完成度の裏側にあるのは、「みずき」が持つ火への解像度の高さだろう。温度を見極め、素材ごとに最適解を導き出す力。その意識がとんかつという料理にも確実に息づいている。銘柄豚の個性を引き出すこと、揚げの精度を突き詰めること、そしてご飯にまで手を抜かないこと。そのすべてが一つの体験として成立している。次はヒレか、あるいはチキンか。この悩みすら、再訪の理由になる。ご馳走様でした。 — とんかつ 螢水080-4218-0572岐阜県岐阜市加納栄町通2-14https://tabelog.com/gifu/A2101/A210101/21022317/