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2026.03.29 夜

岐阜の風景と向き合うステーキ@ 潜龍

焼肉・肉料理

岐阜・大垣・揖斐川

10000円〜29999円

★★★★☆

長良川のせせらぎに耳を傾け、その先に岐阜城を仰ぐ。そんな土地の記憶に寄り添うように佇む『潜龍』。

130年の歴史を持つ建物は、外観からすでに時間の重みを纏い、門をくぐれば手入れの行き届いた庭が静かに広がる。石畳の先に灯る柔らかな明かり、苔むした岩と水の流れ、枝ぶりの美しい木々。まるで一歩ずつ、日常から切り離されていくような感覚だ。室内に入れば木の温もりに包まれた空間に鉄板が据えられ、この和の静寂の中で肉が焼かれるという対比が、この店の本質をより際立たせる。

そんな空間で向き合う主役が「アイボーンステーキ」。ここで語っておきたいのが、この店の肉のルーツだ。現在の岐阜といえば飛騨牛のイメージが強いが、創業当時はまだそのブランドは存在していなかった。だからこそ、この店は松阪牛からスタートしている。その時代における最良を選び続けてきた歴史が、この一皿の説得力を静かに底上げしている。そして“アイボーン”という呼び名もユニークで、一般的なTボーンからT字の骨を外した部位であることに由来する。サーロイン側の力強さとヒレの柔らかさ、その美味しいところだけを純粋に抽出したようなカットだ。

ヒレの柔らかさと、サーロインのコク。焼きは端正で、表面は香ばしく焼き固められ、内部はしっとりミディアムレア。ヒレは繊維がほどけるような繊細さを見せ、対してサーロインは脂の旨味をしっかりと主張する。

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そこに「岩塩」で輪郭を与え、「醤油ベースのたれ」で旨味を重ねて味のバリエーションを楽しむ。さらに筋や脂の部分、そして牛脂がニンニクチップと混ざり合い、鉄板の上でカリッと焼き上げられていく。ジャンクに見えて、その実すべてが旨味の塊。香ばしさと脂のコクが一体となり、気づけば箸が止まらない。こういう脇役にこそ、この店の本気が見える。

「アスパラ」 瑞々しさと焼きの香ばしさのコントラストが心地いい

「新玉ねぎ」 甘みが輪郭を持って広がる、火入れの妙

「生麩 青のり風味」 もっちりとした食感に磯の香りが重なる

「長芋」 シャクっとした軽快な食感が良いリズムを生む

「椎茸」 旨味が凝縮し、噛むほどにジュワッと広がる

白飯と漬物で受け止めるのもまた一つの完成形。

肉の余韻を素直に受け止める器として成立しているが、ここで顔を出す裏メニューが面白い。「ガーリックライス」は青紫蘇や梅肉がさっぱり感も作り出し、ニンニク醤油のコクと共存する設計。重さと軽さを同時に成立させる新しいアウトプットで、きちんと美味しいのがまた悔しい。

「牛肉しぐれ煮」 旨味がぎゅっと凝縮された王道の一皿

「ローストビーフ ポン酢ジュレ」 酸味が脂を軽やかに切り抜く

「新玉ねぎのスープ」 甘みの純度が高く、静かな導入を担う

「シークワーサージュース」 柑橘の酸が口内をリセット

「メロン」 シンプルに甘みで締める潔さ

庭を眺め、川の気配を感じ、城を思い浮かべながら肉を食べる。この土地の時間と料理が重なり合う体験は、やはり特別だ。わざわざ訪れる理由が、ここにはちゃんとある。ご馳走様でした。

潜龍
058-231-1151
岐阜県岐阜市長良14
https://tabelog.com/gifu/A2101/A210101/21000012/

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