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2026.03.28 夜

ストイックなフレンチは、ソースで語る@ベルエキップ

フレンチ

多治見・恵那・中津川

10000円〜29999円

★★★★☆

岐阜・瑞浪の地に構える『ベルエキップ』。2004年創業、「良き仲間」を意味する店名とは裏腹に、その料理は驚くほどストイック。その一皿一皿に宿るのは、和やかさではなく“執念”。余計な装飾を削ぎ落とし、その分すべてを皿の中へ投下する。その覚悟が、料理の密度に直結している。

お口取りは「明太子のブランマンジェ」。クリーミーな口当たりの直後に明太子の辛味が走り、いきなり感覚を掴まれる。

続く「タルト」は“土台”の再解釈、スプーンをそのまま器に見立てる発想が面白い。林檎とチーズに羊の生ハムを重ね、羊の野性味と完熟トマトのまろやかな酸味が交差する構成。意外性を狙いながらも、味の着地点は極めて論理的だ。

この店の核にあるのはソースへの執着。「究極のビーフシチュー」はその象徴だろう。10kgから2Lしか取れないというソースは、舌に乗せた瞬間に旨味が爆発する。肉の柔らかさもさることながら、主役は明らかにソース。思わずパンでさらう手が止まらない。

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しかも「ウーロン茶のパン」を合わせることで、香ばしさと渋みがソースの輪郭をさらに際立たせる。このペアリング、実に秀逸。

「鮑のポワレ」はムール貝とキャベツのソースを合わせた一皿。キャベツの旨味を丁寧に引き出したソースをベースに、さらに個体のキャベツを重ねていくことで、味わいに層を作っていく。

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ムール貝の出汁が土台となり、そこにキャベツの甘みや食感が折り重なって、鮑の滋味をしっかり受け止める。さらにカレーのニュアンスを持たせたパンを添え、料理単体ではなく“皿+パン”で完成させる思想が一貫している。

「フォアグラのポワレ」はトリュフとマデラ酒の濃厚なソースに、バナナ、茸、長芋を合わせる構成。特に長芋がソースとパンを繋ぐ役割を担い、全体を一つの流れにまとめ上げる。

そこに合わせるのが「あおさのパン」。磯の香りがフォアグラのコクに重なり、重厚な味わいに抜けを作るあたりも実に計算されている。

地元・瑞浪の野菜を使った一皿では、野菜とバターとチーズの温かいソースが素材のポテンシャルを最大化する。

そこに「みかんのパン」という遊び心を差し込むセンスもいい。

「オマールブルーのバターポワレ」は、凝縮された旨味に苺とライムの酸を重ね、重厚さの中に軽やかな抜けを作る。ここでもパンは「海老のパン」を合わせ、料理の一部として機能している。

そして特筆すべきは「とうもろこしのクリームスープ」。ブイヨンもバターも使わず、素材の水分と塩、わずかなクリームだけでこの濃度と甘みを実現する。シンプルに見えて、最も技術が問われる一皿だ。

メインの「仔羊のロティ」は3時間かけた火入れ。しっとりとした肉質に焼き汁のソース、マスタードのクリームが寄り添い、羊の個性を残しながらもクリアな味わいに仕上げている。

付け合わせの野菜の完成度も高く、皿全体でバランスを取る設計が見事。そこに合わせる「アーモンドのパン」が、肉の旨味とソースのコクを受け止め、余韻までしっかりと繋いでいく。

デザートは「キャラメルのティラミス」。メレンゲの軽やかさとアイスの冷たさを重ね、キャラメルのコクを多層的に表現する構成。

そして「林檎のタルトとチョコレートのテリーヌ」。最後までブレることなく、素材と向き合い続ける姿勢が貫かれている。

シェフの料理から伝わるのは、技術以上に“突き詰める意思”。地元の食材とフランス料理の技法を掛け合わせながら、どこにも属さない領域へと踏み込んでいる。その結果として生まれるのが、このソース中心の世界観だ。『ベルエキップ』は、ただ美味しいだけでは終わらない。ソースを核に据え、パンとの関係性まで設計し切ることで、一皿を体験へと昇華させる店。この執念に触れるために、瑞浪まで足を運ぶ理由は十分にある。ご馳走様でした。

ベルエキップ
0572-68-2361
岐阜県瑞浪市薬師町2-55-1
https://tabelog.com/gifu/A2103/A210301/21001615/

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