2026.03.21 夜 ラグジュアリーの中で翻訳される日光の味@日本料理 by ザ・リッツ・カールトン日光 日本料理 日光・鬼怒川 10000円〜29999円 ★★★☆☆ 日光の静寂に溶け込むラグジュアリー、その文脈を持ち込んだ「ザ・リッツ・カールトン日光」。世界的ホテルブランドの美学と日本料理の伝統が交差する場であり、目指すのは土地と季節の翻訳。ホテルダイニングでも同様に、日光という土地の自然や文化を見事に再構築している。 『THE JAPANESE RESTAURANT by The Ritz-Carlton, Nikko』 スタートはまさかのオーダー未通過というハプニング。ただ、ここで終わらせないのがこの店の底力で、丁寧なリカバリーと提案力で流れを立て直す。結果的にアラカルトでおすすめを選択する形となり、むしろ料理の個性を断片的に体験できたのは悪くない展開だった。 「日光湯波の御造り」は、この土地ならではの食材を主役に据えた一皿。とろりとした湯波に薬味の清涼感が重なり、単調になりがちな食感にリズムを与える。 「蛤の春巻き」は、和と中華の技法を横断する一品。外側の軽やかな揚げの質感に対し、中には蛤の旨味が凝縮され、さらに「蛤の吸い物」では桜の香りを添えて季節感を演出。春巻きのコクと吸い物の清らかさ、その対比が心地よい。 「栃木県産平飼い卵の出汁巻き」は、王道の安心感。ふわりとほどける食感の中で主役になるのは出汁ではなく、あくまで卵そのものの旨味。濃密なコクがじんわりと広がり、シンプルな料理でありながらしっかりと印象を残す。 そして「しゃぶしゃぶ」。火入れによって引き出された脂の甘みはかなり力強く、そのままではやや重さも伴う。 そこに梅酢だれの軽やかさ、胡麻ダレのコク、ポン酢のキレが介入し、脂を整えながら食べ進めさせる設計に仕上げている。 たっぷりの野菜や木の子がその合間に入り込み、全体のリズムを作る役割も担う。 この店の価値は、料理単体の驚きというよりも、“場所・空間・サービス”と一体になった体験にある。ハプニングすらも最終的に心地よく着地させるホスピタリティは、さすがの一言。日光の自然を背景に、安心して和食を楽しみたい人にはしっかり応えてくれる一軒だ。ご馳走様でした。 — 日本料理 by ザ・リッツ・カールトン日光050-5593-6326栃木県日光市中宮祠2482 ザ・リッツ・カールトン日光https://tabelog.com/tochigi/A0903/A090301/9019419/