「おいしい」を、
すべての人に。

検索

2026.03.15 夜

怒涛の皿数。文化と旬が押し寄せる京都懐石@東山 吉寿

日本料理

京都市

30000円〜49999円

★★★★☆

京都・東山の静かな路地に暖簾を掲げる日本料理店『東山 吉寿』。祇園や岡崎の名店が並ぶこのエリアにあって、この店の魅力を一言で言うなら「圧倒的な品数」。料理の完成度はもちろんだが、それ以上に驚かされるのはコースのボリュームと演出の豊かさ。料理は次々と現れ、器や盛り付けのプレゼンテーションも華やかだ。さらに、この店はそこに京都らしい文化や季節の文脈を重ねてくる。この日は雛の節句の頃の献立で、百人一首で迎えられ、貝合わせなど節句を象徴する意匠の料理が続く。文化、旬、そして料理。それらを次々にぶつけてくるような構成で、コース全体が一つの流れとして楽しめる仕立てになっている。

それでは怒涛の料理たちを紹介していこう。

「筍」
春の一皿。合馬の筍と蕾菜という春の景色に、ワンタンを忍ばせる。出汁は鶏ミンチと野菜で引いた澄んだコンソメ仕立て。まずは筍の甘みと出汁の旨味をそのまま楽しみ、途中でワンタンを割ると中から青のりの鶏油が広がり、香りとコクが一気に立ち上がる。

「八寸」
雛の節句にちなむ八寸。貝の器を使った「貝合わせ」の趣向で、子持ち昆布、ミル貝、山独活、防風など春の食材を盛り込む。子持ち昆布は子孫繁栄の象徴。もう一つの貝には葉牛蒡を胡麻ペーストで和え、上には胡麻をひと振り。小鉢には烏賊の細切りにこのこを合わせ、海の旨味を重ねる。春の香り、海の旨味、そして祝いの意味合いを一皿に重ねた構成。

「蛤揚げ 蛤出汁仕立て」
蛤を香ばしく揚げ、吸い地には別の蛤から引いた出汁を合わせる贅沢な一皿。揚げた蛤の旨味に、蛤出汁の厚みが重なる。上にはコシアブラを添え、そのほろ苦さが春の輪郭を作る。香りには柚子。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: IMG_62981.jpg

「造り」
担ぎの真鯛(明石)、伊勢海老の洗い、宮城の中トロ。塩や酢橘などで食べさせる設計。周りには流氷に見立てた大根を添え、日本料理の飾り切りである流氷大根が皿に清涼感を与える。中でも印象に残るのは伊勢海老。洗いにすることで甘みと弾力が際立ち、思わず美味しいなぁと呟いてしまう。

「鯖寿司」
白板昆布をまとわせた端正な仕立て。脂の乗った鯖と酢飯のバランスが見事。鯖寿司は京都を象徴する料理の一つ。若狭から鯖が運ばれてきた歴史を思わせる、土地の文化を感じる一貫。

「穴きゅう」
島根・十六島(うっぷるい)の天然岩海苔を使用。香りの強い海苔が主役になる巻物。

「燻製チーズ」
軽く燻したチーズの一皿。コースの流れの中でアクセントになる存在。

「若竹煮」
島根の若布と筍を合わせた春の定番。出汁の旨味が素直に染みる。

「和牛フィレ 味噌漬け」
柔らかなフィレ肉に味噌の香ばしさ。葱を添えて爽やかにまとめる。

「太刀魚 唐墨」
塩を当てずに揚げることで太刀魚の甘みを引き出し、唐墨の旨味を重ねる。

「ホタルイカご飯」
伊勢海老の出汁で炊いた贅沢な炊き込みご飯。ホタルイカ、筍、木の芽、アスパラを合わせ、柴漬けがアクセント。目の前で豪快に仕上げる演出も含め、コースのハイライト。

「湯葉にゅうめん」
桜の香りを添えた優しい締めの一椀。

「桜餅と抹茶」
最後は桜餅と抹茶で春を締めくくる甘味。

こうして振り返ると、とにかく料理が続く。春の食材、京都の文化、そして料理人の趣向。それらを次々と重ねながらコースは進み、気づけばかなりの皿数に到達している。まさに怒涛の展開。食べ応えも相当なもので、満腹中枢はしっかり刺激される。文化的な意匠を織り込みながら、華やかなプレゼンテーションで料理を重ねていく構成。しっかり食べて、しっかり楽しませる。そんなスタイルが印象に残る一軒でした。ご馳走様でした。

東山 吉寿
075-748-1216
京都府京都市東山区妙法院前側町422
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260301/26031203/

エリア

ジャンル

価格帯

評価

月別アーカイブ