2026.02.28 昼 センター南に、素敵なパティスリー@BASCULE デザート 横浜市 1000円〜2999円 ★★★★☆ 横浜・センター南エリアに店を構える『BASCULE』。2022年に暖簾を掲げたこの一軒は、フランス語で“シーソー”を意味する店名の通り、甘味と塩味、伝統と革新、重厚と軽快、その絶妙なバランス感覚を哲学の中心に据える。黒を基調にした美術館のような空間に並ぶのは、フランス菓子の王道を踏まえながらも、どこか現代的な輪郭を帯びた作品たち。 その思想を支えるのが、オーナーシェフ佐藤徹氏。自由が丘の名店『パティシエ・パリセヴェイユ』で19年、シェフの右腕として店を支え続けた職人だ。30年以上にわたるキャリアで磨き上げたのは、生粋のフランス菓子の技術と理論。バターの温度、ムースの気泡、グラサージュの艶、すべてが計算の上に成り立つ。その積み重ねが、BASCULEの一つ一つのケーキに静かに宿る。 まずは「オンフルール」。真っ白なフォルムは、まるでノルマンディーの港町に咲く花のよう。スプーンを入れた瞬間のふわりとした抵抗、口に含めばフロマージュブランの軽やかなコクが広がる。そこに忍ばせたフリュイルージュの酸味が差し込み、白と赤のコントラストが一気に立体化する。乳のまろやかさと果実の酸の緊張関係。 続く「ミニュイ」。艶やかな漆黒のグラサージュは、名の通り“真夜中”。ナイフを入れると現れる層の美しさに、まず視覚が奪われる。ひと口目はショコラの深み、しかしすぐにブラックベリーティーの香りが立ち上がり、甘さ一辺倒にさせない構成力が光る。内部のフリュイルージュのジュレが酸で輪郭を描き、余韻は驚くほどアロマティック。濃厚でありながら香りで抜ける設計、これぞフランス伝統技術の現代解釈だ。 そして焼き菓子の代表格「サブレ ブルトン」。厚みのある佇まい、ザクッと歯が入る瞬間の快感。ブルターニュの伝統に則った塩とバターの構成は、まさに店名を象徴するシーソーのような均衡。噛むほどにバターの芳醇な香りが広がり、後追いの塩味が甘みを引き締める。 全体を通して感じるのは、甘さを足す引くではなく、どう均衡させるかという視点。乳と果実、ショコラと紅茶、バターと塩。それぞれをぶつけるのではなく整理し、立ち上がりから余韻までを滑らかに繋いでいく設計力が印象的だ。長年フランス菓子と向き合ってきた職人の基礎の強さが、そのまま味の安定感として表れている。ご馳走様でした。 — BASCULE045-482-4830神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎中央22-15 ルーナレガーロ 1Fhttps://tabelog.com/kanagawa/A1401/A140203/14087319/