2026.02.26 夜 焼鳥とベルギービール、そして名店に教えを乞うた親子丼。@虎ノ門 焼鳥國よし 焼鳥・焼きとん 銀座・新橋・有楽町 10000円〜29999円 ★★★★☆ 西新橋の地下に暖簾を掲げる『虎ノ門 焼鳥國よし』。2017年オープン。新橋で焼鳥とベルギービールを掛け合わせた「ホップデュベル」を経て、その旗艦店として誕生したのがここだ。店主・堀晋福氏は「銀座バードランド」で修業を積み、焼鳥の基礎を身体に叩き込んだ職人。自らの名「くにとし」を掲げたこの店は、ご主人の目指す集大成と言っていいだろう。 まずは乾杯からいこう。ここでは日本酒でも焼酎でもない。「VEDETT」。軽やかな泡立ち、すっと抜ける苦味、柑橘を思わせる爽やかな香り。最初の一口で口内の緊張を解き、炭火の香りを迎える準備を整える。焼鳥の脂を受け止め、流し、また次へ。ベルギービールを軸に据えた原点は、今もこの一杯に宿っている。 ここは基本的にコース仕立て。 「自家製レバーのパテ」は、低温調理で火を入れたレバーを使い、三年熟成味醂を煮詰めたコクで重心を落とす設計。 合わせるのは有名店パーラー江古田のバゲット。それを炭火で温め、香ばしさを重ねるあたりに焼鳥屋としての意思がある。続く「季節の前菜」では、山菜のほろ苦さと鶏の西京焼きが流れを整える。 そして名物「キミノレバニラ」。こちらも低温調理のレバーに、濃厚な黄身を絡める構成。鉄分を帯びた旨味を脂が包み、ニラの香りが抜ける。ここに日本酒をさらりとペアリング。 串はテンポよく。 「丸ハツ」 「白レバー」 「かしわとソリ」 「ちょうちん」 「銀杏」 「抱き身」 「エルフランス」 「椎茸」 「つくね」 中でも印象に残ったのは「だきみ」。火入れは穏やかで、水分をきちんと抱え込む。噛むとじわりと肉汁が広がる一本。「白レバー」もいい。胡椒を効かせながら、とろける質感を崩さない。低温でレバーを扱う店らしい完成度。「ちょうちん」は弾けた瞬間の濃厚さが魅力。余韻を引きずりすぎないのも好印象。締めに向かう流れで「つくね」。密度はあるが重たくない。 そして最後は「親子丼」。実はこの出汁には背景がある。かつて店の前身時代、向かいにあった「京味」との縁から、西健一郎氏に教えを請い、鶏出汁に昆布を重ねる旨味の設計を学んだという。ジャンルは違えど、和食の真髄を焼鳥の締めに落とし込む。とろりとした卵と重層的な出汁が米に染み締めを担う。 焼鳥とベルギービールという原点に、低温調理のレバー、そして和食の出汁感が重なる構成。強く打ち出す皿と、堅実に支える串。そのバランスがこの店らしさだ。虎ノ門で焼鳥を選ぶ夜。理由を持って足を運べる一軒。ご馳走様でした。 — 虎ノ門 焼鳥國よし03-3581-1988東京都港区西新橋2-15-2 親和ビル B1https://tabelog.com/tokyo/A1308/A130802/13213940/