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2026.02.24 昼

素材の純度、その先にあるケーキ@おかしやうっちー

デザート

四ツ谷・市ヶ谷・飯田橋

10000円〜29999円

★★★★☆

北参道の静かな路地裏に、そっと息を潜めるように佇む『おかしやうっちー』。イートインはわずか4席。その最小単位の空間で向き合うのは、華やかさではなく素材そのものだ。店主・内山裕介氏は「ボニュ(Bon.nu)」で培った料理的思考を背景に、菓子を素材表現の手段として扱う。添加物や過度な保存に頼らず、香りと質感が最も立ち上がる一点を探る。その姿勢は、もはや求道的だ。

今回の主役は「レモンのミルクショートケーキ」。脂肪分を抑えた自家製生クリームは、口に触れた瞬間に雪のように溶ける。だが、軽いだけではない。ミルクの甘い香りはくっきりと残り、その上に砂糖漬けのレモンが差し込む。

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皮のほろ苦さ、果肉の酸味、その両方を取り込むことで味に陰影が生まれる。スポンジはあくまで支え役。甘さで包み込まず、酸と乳のコントラストを立体的に描く設計だ。ショートケーキの姿を借りた、柑橘と乳の構築物と言っていい。

「甘平のムース」は果肉感をしっかり残し、柑橘の苦味まで抱き込む構成。ふわりとしたムースの軽やかさの奥に、果実の厚みが潜む。

「煎茶のゼリー」は“かもみどり”をドリップ抽出。コーヒーのように一滴ずつ香りを引き出し、透明感のある旨味を閉じ込める。しっとりと舌に広がる青い香り、そして静かに消える余韻。甘味は最小限で、茶葉の輪郭をくっきりと描く。

「百合根のタルト」は刻みと塊を共存させ、食感のグラデーションで甘みを広げる。バタークリームのコクと百合根のほくほく感が溶け合い、野菜の可能性を再提示する一皿。

最後は「苺のパフェ」。牛乳、砂糖、苺、そして少量のメレンゲのみ。グラスの中で層を成し、苺の酸味と乳のやわらかさが交差する。軽やかなのに印象は鮮明。苺そのものを食べている感覚が最後まで続く。

そして最後に触れておきたいのが、テイクアウトさせてもらった「プリン」と「シュークリーム」。店内で味わう繊細な菓子とはまた違う顔を見せる存在だ。「シュークリーム」は注文後にクリームを詰め、香ばしい皮の存在感を最大化。神果卵を使ったカスタードは濃厚で、卵の旨味が一直線に伸びる。

「プリン」はさらに印象的だ。スプーンを入れた瞬間の弾力、口に広がる卵の風味の厚み。甘さでまとめず、素材の力で押し切る。カラメルのほろ苦さが全体を締め、余韻まで抜かりない。

素材をどう美味しく食べさせるか。その問いを真正面から突き詰めた先に、この菓子たちはある。4席の静かな空間で味わうのは、甘味ではなく素材の再発見。レモンの皮の一片すら愛おしくなる体験が、ここにはある。もう一度あのショートケーキを食べたい。自然とそう思わせる力が、この店にはある。ご馳走様でした。

おかしやうっちー
03-6721-0277
東京都渋谷区千駄ヶ谷3-27-9 ウエスト青山 1F
https://tabelog.com/tokyo/A1309/A130901/13238644/

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