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2026.02.22 夜

名古屋の狂熱、その名は味仙@矢場味仙 東京

中華料理

渋谷・恵比寿・代官山

3000円〜4999円

★★★★☆

東京・渋谷に名古屋の熱狂をそのまま持ち込んだ『矢場味仙 東京』。1960年代に台湾出身の郭明優氏が名古屋で創業した「味仙」をルーツに持ち、五兄弟それぞれが暖簾を掲げることで知られる一大ブランド。その中でも矢場町系譜の流れを汲む一軒が東京に進出。店内は赤と黄色のビビッドな世界観、壁に踊るロゴ、大声が飛び交う活気。整然としたレストランというより、戦場のような熱量。遠慮なく、容赦なく、旨くて辛いものを出す。それだけだ。

料理は豪快に見えて、実はスパイス設計が緻密。「手羽先」は名古屋的甘辛とは別路線、唐辛子と胡椒の刺激が前面に出る直球型。齧った瞬間に舌を刺す辛味、次いで鶏脂のコク、最後にじわりと花椒のニュアンスが追いかける。結構辛い。でも止まらない。

名物の1つである「小袋」はコリコリとした食感に、辣油とニンニクのパンチ。内臓の旨味をストレートに叩きつける構成で、ビール泥棒の異名を与えたい完成度。

「酢豚」は黒酢の酸味よりも醤油ベースの甘辛が主体で、揚げた豚の衣がタレを吸い込む設計。シャキッとした玉ねぎがアクセントになり、重たさを回避するバランス感覚が光る。

箸休めに見えて侮れないのが「青菜炒め」。強火で一気に仕上げた青菜は、鶏ガラスープの旨味をまとい、ニンニクが下支え。油通しの温度管理が的確で、茎は瑞々しく、葉はしっとり。シンプルだが技術が透けて見える一皿。

「海老マヨ」は一転して甘艶路線……と見せかけて、しっかり辛い。ぷりっと揚がった海老に濃厚マヨソース、その奥に唐辛子の刺激がきちんと潜んでいる。最初に感じるのはクリーミーな甘さ、しかし後追いでじわっと辛味が立ち上がる二段構え。

「麻婆茄子」は挽肉の旨味と豆板醤の辛味がねっとり絡み、茄子は油を吸ってとろける。

そして個人的ヒットが「アサリ炒め」。殻ごと豪快に盛られたアサリは、唐辛子とニンニクをまとった醤油ベースのスープをたっぷり抱え込む。ひと口すすれば、まず貝のエキスがぶわっと広がり、その直後にピリリと辛味が追いかける。この旨味の厚みと辛味の追撃こそ味仙の真骨頂。

名物の「台湾ラーメン」は、この店の象徴。着丼と同時に立ち上る唐辛子の赤い海。挽肉、ニラ、ニンニクがどっさり。スープをひと口、まずは醤油ベースの旨味、すぐに唐辛子の鋭い辛味が喉を焼く。しかしベースの味わいが厚く、ただ辛いだけで終わらない。中細麺がスープを絡め取り、汗が噴き出す頃にはレンゲが止まらない。これは料理というより体験だ。

そして「ニンニク炒飯」。パラリと解ける米粒、玉子のコク、ラードの香ばしさ。

五兄弟で広げた味仙ブランドは、それぞれに個性がありつつも、共通するのは攻撃的な味の設計思想。台湾料理を名古屋流に再構築し、辛さをアイコンにまで昇華させた郭家の功績は大きい。そのDNAが東京でもきちんと再現されている。汗をかき、ビールを流し込み、皿を囲む。上品さや静謐とは無縁。でも、この雑多な高揚感こそが価値だ。完成度は高く、基礎がしっかりしているからこそ、この辛さが成立する。東京で名古屋の夜を疑似体験するなら、ここは有力な選択肢になるだろう。ご馳走様でした。

矢場味仙 東京
東京都渋谷区道玄坂1-17-7 いちのビル 1F・2F
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13312415/

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