2026.02.22 昼 翁の名を背負う、力強い手打ちそば@狭山 翁 そば 所沢・飯能 1000円〜2999円 ★★★★☆ 埼玉・狭山の住宅地に暖簾を掲げる『狭山 翁』。創業は2001年。翁の字が示す通り、高橋邦弘氏率いる「翁達磨」の系譜に連なる一軒だ。店主は高橋名人のもとで修業を積み、その技と哲学を携えて独立。蕎麦を文化として捉え、鍛錬を重ねることで完成度を高めていく翁の思想を、この地で実直に体現している。 まずは「ざるそば」。 整然と揃えられた麺線は、見るからに張りがある。箸で持ち上げると、むっちりとした弾力が指先に伝わる。口に含めば、ぐっと押し返すコシ。噛み締めるごとに蕎麦の甘みがじわりと広がる。喉越し一辺倒ではなく、きちんと噛ませて旨味を引き出す設計。冷水での締めも的確で、エッジは立ちながら硬すぎない。なんとも緊張感のある打ち上がりだ。 つゆは輪郭のはっきりした出汁。鰹の香りが立ち、返しはやや強め。蕎麦の甘みをきりっと引き締める。どっぷり浸しても負けない強度がある。単体で完成しているが、天ぷらの受け皿にもなる懐の深さがある。油のコクを受け止めても、輪郭は崩れない。 「天ぷら」。まず目を引くのは衣の厚み。堂々たるボリュームだが、噛めば軽やかに崩れる。気泡を抱えた衣がサクッと弾け、素材の水分と甘みを閉じ込める。「海老」はぷりりと弾力を保ち、「獅子唐」は青い香りを放つ。「薩摩芋」はねっとりとした糖度を響かせ、「占地」は旨味を抱え込み、「茄子」は油をまとってとろりと艶やか。厚衣でありながら重くならない。 翁の名を掲げる以上、求められる水準は高い。その期待にきちんと応える完成度。「ざるそば」と「天ぷら」の組み合わせは満足度が高い。むっちりとした蕎麦の力強さと、堂々たる天ぷらの存在感。狭山で蕎麦を手繰るなら、まず思い浮かべたい一軒だ。ご馳走様でした。 — 狭山 翁042-903-9940埼玉県所沢市小手指南1-17-34https://tabelog.com/saitama/A1106/A110601/11000055/