2026.02.07 昼 海老フライを軸にした、ミックスフライの完成度@七條 洋食 吉祥寺・三鷹・武蔵境 1000円〜2999円 ★★★★☆ かつては神田エリアで長く暖簾を掲げ、現在は三鷹の街に腰を据える洋食店『七條』。創業は2005年。神田時代から一貫してフライを看板にしてきた店で、移転を経てもその立ち位置は明快だ。油と衣と素材、その基本だけで勝負する洋食屋。シェフは四ツ谷の名店「北島亭」で研鑽を積んだ人物で、揚げ物を軸にしながらも、味の組み立てやソースにシェフの引き出しがきちんと感じられる。 この日、注文したのは「ミックスフライ」。まず目を引くのは、皿の上に並ぶフライのシルエットの美しさだ。名物の「海老フライ」を中心に、「蟹クリームコロッケ」と「アジフライ」が並び、視覚的にもシェフの実力の高さが伝わってくる。ここで共通して感じるのが、揚げ物全体の軽やかさ。明らかに質の良い油が使われており、揚げ場から立ち上る香りが澄んでいる。衣はレシピとしても知られる二度づけが特徴で、パン粉が含む水分量をうまく保つことで、サクッとした歯切れを生み出すそうだ。 その中でも、やはり印象に残るのが海老フライだ。見た目の美しさそのままに、衣は軽く、歯を入れた瞬間にサクッとほどける。続いて現れるのが、火入れを抑えた海老のプリプリとした弾力と甘み。ここに合わせるタルタルソースも完成度が高く、シェリービネガー由来の芳醇な香りが特徴。酸味で主張するのではなく、海老の甘みを引き立て、全体の輪郭を整えてくれる。名物と呼ばれる理由が、自然と腑に落ちる。 一方で、他の二品もきちんと印象に残る。蟹クリームコロッケは中身がトロトロで、ベシャメルの滑らかさと蟹の旨味がきれいに溶け合う。衣の軽さがあるから、コクがありながらも重たくならない。アジフライは身がふっくらとして厚みがあり、青魚らしい旨味をしっかり残した火入れ。海老フライとは違う方向で、フライとしての確かさを感じさせてくれる。 『七條』は、神田時代から積み上げてきたフライの仕事を、三鷹という街でそのまま続けている。ミックスフライを頼めば、まず見た目の美しさがあり、次に油と衣の確かさがあり、そして名物の海老フライを軸に、それ以外の揚げ物まできちんと美味しいという事実が残る。今日はちゃんとしたフライが食べたい、そう思ったときに迷わず思い出せる洋食の名店だ。ご馳走様です。 — 七條0422-24-8375東京都三鷹市下連雀3-15-15 I’SAMビル 1Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1320/A132002/13291810/