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2026.01.30 夜

料理人という職業が憧れであるために@アカ

スペイン料理

東京・日本橋

30000円〜49999円

★★★★★

日本橋の『アカ(aca 1°)』。スペイン料理を軸に、日本の素材を自在に組み込むその構成力は、東京でも屈指。ミシュランの星、Asia’s 50、食べログの高評価。数々の賞歴がその完成度を証明しているが、それでも一番の特徴は、毎年“更新”され続けていることだと思う。

今週、食べログアワードが発表された。『アカ』は今年も“GOLD”。全国の飲食店の0.08%にしか与えられないアワードで、その中でもGOLDはさらに限られた上澄み。会場で壇上に立つ東鉄雄シェフを見て、評価や実力とは別の次元で、ただその存在感に引き込まれた。料理人が憧れの職業になるために、ああいう人が必要なんだと思った。かっこいい。

『アカ』の料理は、スペイン料理を骨格にしながら、日本の食材を巧みに織り込んでいく構成が特徴的。郷土料理のような素朴な要素を、リストランテのレベルにまで引き上げる手腕がある。今回、その構成力が特に際立っていたのが河豚。高級食材としての誇示ではなく、スペイン料理の文脈に自然に溶け込み、むしろその繊細さが際立つ。仕立て方の違う2皿で、食材の輪郭がはっきりと描き分けられていた。

ひとつは、スペイン南部の鶏料理「アリタデポジョ」を河豚に置き換えた構成。カマの骨周りのゼラチン質はとろりと崩れ、揚げ焼きの香ばしさとパプリカのスモーキーな香りが一体に。味も食感も厚みがあるが、どこか軽やか。少し時間を置いて、身の部分も追いかけるように提供される。

もうひとつは、「河豚白子と車海老のアヒージョ」。とろける白子と弾力のある車海老。温度管理が的確で、オイルは白子が加わる前から十分に味わい深い。そこに崩れた白子が加わることでさらに厚みが増し、調味料としての完成度が突き抜ける。一緒に提供されたパンなど一瞬で消える。和とスペインががっつり握手をした一品。

その他の料理のラインナップはこちら。もちろん河豚以外も、それぞれに完成度が高い。

「生ハムスープ 蕗の薹の香り」ハモンセラーノの塩気と蕗の薹の苦味が交差する液体の一皿。

「小肌のボカディージョ」酢と脂と香草が一体になった定番の一口サンド。

「太刀魚の薪焼き、ハーブサラダ、シェリービネガー」皮目の香ばしさと酸味、苦味のバランスが抜群。

「アホブランコと蕪」ニンニクとアーモンドのペーストに柔らかな蕪の甘さと柚子の香り。

「神戸牛サーロインと徳島産天恵菇」肉の脂のキレと椎茸の香り。シンプルな調味で素材の強さを引き出す。

「松葉蟹のパエリア」蟹の旨味が米に行き渡り、香ばしいおこげがアクセントに。

「安納芋と山羊ミルクのアイス」芋の甘さと乳の酸味。温度と舌触りで見せるデザート。

「スペインチョコとアマゾンカカオの生チョコ、リンゴチップ」香りが主役の締め。甘さを抑えて余韻を残す構成。

『アカ』は、料理の完成度も、構成の妙も、そしてシェフ自身の存在も含めて“更新”を続けている。日本の食材を軸にスペイン料理の文脈を構築し、素材の輪郭を丁寧に描き出すコース。それが、圧倒的な説得力とともに毎回提示される。料理人が憧れの職業になるために、スターは必要だと思っていた。ここには、その答えがある。ご馳走様でした。

アカ
03-6262-5090
東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井2号館
https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130202/13249117/

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