2026.01.29 昼 とんかつを支える名脇役。いや、もはや主役。@ぽくぽく とんかつ・揚げ物 奈良市 1000円〜2999円 ★★★★☆ 奈良の静かな住宅街。通り過ぎてしまいそうな一角に、ひっそり佇む完全予約制のとんかつ店『ぽくぽく』。なんともゆるい名前だが、“ポーク”と木魚の“ポクポク音”をかけてるのかも。音から連想させる通りの雰囲気で、気取った感じは一切なく、それでいて仕事ぶりには一切の抜かりがない。ぱっと見はのんびり、でも中身はガチ。そんなギャップがちょっとクセになる。 まず圧倒されるのは、そのビジュアル。 とんかつの横に、でんと構える巨大なサラダの山。キャベツ、赤キャベツ、ラディッシュ、紫玉ねぎ、春雨、ブロッコリー、パプリカ、みかんまで。色とりどりの野菜が盛られていて、その量は通常の店の4倍と店主が豪語するだけある。食べてみると、シャキシャキの歯応えに、甘みや苦み、香りまで複雑に混ざり合っていて、これはもう立派な一品。 「汁物」もただの味噌汁じゃない。花麩や根菜、そして奈良の在来柑橘「やまとたちばな」まで入っていて、汁より具が主役。柑橘の香りがふわっと立ちのぼり、不思議と揚げ物に合うんだな、これが。地味なんだけど、じわじわ効いてくる。 ここまでのインパクトに肝心なトンカツを紹介し忘れるところだった。笑 で、いよいよ主役のとんかつ。豚は奈良ブランドの「ヤマトポーク」。150gから選べるスタイルで、この日はシンプルに一枚。まず驚くのがその軽さ。衣はラードと植物性油をブレンドして揚げているらしく、サクッとした歯切れにベタつきは一切なし。肉はしっとりとして旨味があり、脂は甘い。でも重くない。この豚、相当仕上がってる。だからこそ塩を推奨するのも納得。薬味やスパイスがさりげなくブレンドされていて、ヤマトポークの輪郭を浮かび上がらせてくれる。ソースをかけたら、もったいない。そう思わせる繊細さがある。素材への信頼がないと、こんな出し方はできない。 ごはんは十八穀米。もっちりしていて香ばしく、白米とは違う楽しさがある。小鉢には青菜と豆腐、そこにふわっと胡麻が香る。全体のバランスが本当にうまくできていて、「とんかつ定食」と呼ぶには惜しいくらい構成が整っている。 主役のはずのとんかつが、脇に追いやられそうになる定食なんて、そうそうない。サラダは一皿の料理として成立してるし、汁物は香りの記憶を残してくる。ごはんも小鉢もただの添え物じゃない。全部が主役級。むしろ「ぽくぽく」という料理の中に、とんかつが“いる”という感覚。そういう店。ご馳走様でした。 — ぽくぽく0742-31-2537奈良県奈良市勝南院町23https://tabelog.com/nara/A2901/A290101/29006452/