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2026.01.21 夜

技術と時間がつくる安定感@是しん

日本料理

大阪市

10000円〜29999円

★★★★☆

大阪・西天満に店を構える『是しん』。2013年創業。店名は、是か非かを常に自らに問い、流行や評価に左右されず「是」と信じた料理を貫くという姿勢から名付けられている。その思想は料理だけでなく、地下に広がる静かな空間にも通底する。数寄屋を思わせる設えや、茶室のように外界の情報を削ぎ落とした佇まい。余計な装飾を排し、料理と向き合うための温度だけが、きちんと整えられた場だ。

大将の関根崇一氏は、料理旅館の家に生まれ育ち、調理師学校を経て神戸吉兆で11年修業。日本料理の基礎技術と構成力を、時間をかけて身体に染み込ませてきた料理人である。その積み重ねの延長線上に、ミシュラン一つ星という結果がある。出汁の取り方、火入れ、組み立て、その一つ一つが崩れずに積み重なっていく、確かな安定感が魅力だ。

「八寸」は、その店の料理観を端的に語る。菊菜、海鼠の酢の物、鮟肝の酢味噌和え、海老真丈、車海老とクリームチーズ、ローストビーフ、牡蠣の燻製など。味の方向性は明確で、酸味、旨味、コクが整理されている。八寸を単なる品数の集合体にせず、酒肴としての流れを持たせている点に、この店の構成力が表れている。

続く河豚料理。「てっさ」は、河豚の旨味をきっちりと引き出した仕立て。淡白になりがちな素材だが、噛み締めるほどに滋味が広がり、河豚らしさが静かに立ち上がる。

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「白子」は対照的に、滑らかで濃度のある味わい。温度と質感のコントラストがはっきりしており、素材の力をそのまま提示する。

「御椀」は花びら真薯。ふんわりと軽やかな真薯に、鰹の香りがふわっと立ち上がる澄んだ出汁が寄り添う。金箔が視覚的な印象を残すが、出汁の香りと余韻が、お椀全体の軸として活躍している。

戸井産の「鮪」は、蕪のおろしと酸味を効かせたジュレを添えた一皿。脂のある鮪を重たく見せず、温度と酸で軽やかに着地させている。素材の格に寄りかかるのではなく、料理として成立させる設計が感じられる。

お造りは、熟成した「アオリイカ」、豊後水道の「平目」、舞鶴の「鰆」を焼霜。それぞれのネタに合わせて厚みと包丁を変え、アオリイカはねっとりとした甘みを、平目は清らかな旨味を、鰆は香ばしさと脂を際立たせる。

「伊勢海老」は野菜とにつめたスープで。甲殻類の旨味を前面に出しながらも、和の文脈から逸脱しない仕立てで、コースの流れに自然に溶け込ませている。

焼物は「鰆」の味噌焼きに「白魚」のおかき揚げを添える。味噌の香ばしさと鰆の脂、白魚の軽やかな食感が心地よい対比を生み、日本料理としての王道的な安心感がある。

「ツキノワグマ」は、熊の脂が持つ甘みを丁寧に引き出した仕立て。白味噌のやわらかなニュアンスが寄り添い、重たさを感じさせず、旨味として静かにまとまっていく。素材の強さを誇示するのではなく、コースの流れの中に自然に溶け込ませている点が印象的だ。

「食事」は、甘鯛と唐墨の炊き込みご飯。炊き上げた米に甘鯛のふくよかな旨味が溶け込み、そこに唐墨の塩気と香りを重ねるという組み合わせが実にユニークだ。

「水物」は、果実を閉じ込めたゼリー寄せ。瑞々しさで口の中を一度リセットし、次へと自然につなげる。

「甘味」は雪餅。甘さを抑え、最後までトーンを崩さず、静かに食後の余韻を閉じていく。

『是しん』の料理を通して強く残るのは、最後まで崩れない安定感だ。出汁の精度、火入れの確かさ、組み立ての整合性。そのすべてが高い水準で揃い長年積み重ねてきた仕事が、そのまま料理として表に出ている。安心して任せられる日本料理店とは、こういう存在だと思わせてくれる一軒である。ご馳走様でした。

是しん
06-6364-0118
大阪府大阪市北区西天満2-9-3 西天満ロイヤービル B1F
https://tabelog.com/osaka/A2701/A270101/27077650/

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