2026.01.17 昼 出汁と麺が導く、ジャンルを超えた一杯@だしと麺 遊泳 ラーメン・つけめん 中野~西荻窪 1000円〜2999円 ★★★★☆ 高円寺の住宅街に店を構える『だしと麺 遊泳』。2021年に早稲田で間借り営業としてスタートし、2023年7月に現店舗をオープン。店主・岸本健太郎氏は脱サラ組。ラーメン店、うどん店、製麺所を渡り歩き、麺と出汁という日本の食の核に正面から向き合ってきた経歴を持つ。「だし」と「麺」を冠した屋号は、その哲学を端的に表している。 主力となるのは「油そば」。だが、一般的な油そばとは一線を画す。 麺は圧巻の存在感を放つ極太手もみ。見た目のインパクトだけでなく、口にした瞬間に感じるのは“もち”のような質感。歯を入れるたびに押し返してくる弾力と、そこから滲む小麦の香りと甘み。タレを絡めるというより、麺がタレを包み込む。そのまま噛みしめることで味が開き、食感と旨味が連動していく。咀嚼の動作そのものが快感に変わる。 タレは、出汁由来のうまみが軸。過剰な塩味や油の主張はなく、下支えとしての機能に徹している。麺とタレ、この二点だけで成立する構造に無駄はなく、逆に削ぎ落とすことで強度が増している。添えられるのは、淡く澄んだ「出汁スープ」。麺を浸してつけ麺風にすることも、スープに入れてラーメン風にすることも推奨されているが、実際のところそのまま食べ続けたくなる。完成された状態に加えるものが不要と感じるほど、一体感がある。生卵も味変の選択肢として提供されるが、味覚の重心は終始麺に置かれている。 『だしと麺 遊泳』は、もはやラーメンでもうどんでもない。出汁と製麺、それぞれの研鑽を積んだ者が到達した、ジャンルを超えた麺料理の提案だ。咀嚼のたびに引き出される旨味、食感そのものが味わいとなる一杯。そのままで完成された構造に、言葉は不要。食べることの根源に引き戻されるような体験がここにある。ご馳走様でした。 — だしと麺 遊泳東京都杉並区高円寺南1-6-5 高円寺サマリヤマンション 1Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1319/A131904/13287534/