2026.01.02 夜 町家の個室で、静かに中華を。@創作中華 一之船入 中華料理 京都市 10000円〜29999円 ★★★☆☆ 京都・中京区。高瀬川沿いにひっそりと佇む町家に、『一之船入』は暖簾を掲げる。江戸時代、この一帯は物資を積んだ高瀬舟が行き交い、京都の物流を支えた「一之船入」と呼ばれる船着き場があった場所。屋号はその史跡にちなんだものだ。外観は町家の風情を残しつつも、中からは中華の香りがほのかに漂う。歴史ある立地に根を下ろしながら、中国料理を基盤にした料理を提供しており、空間にも料理にも“和と中のほどよい接点”が感じられる。 コースの最初は「冷菜三種の盛り合わせ」。鶏胸肉には葱の香味ダレ、焼豚には細かく刻んだエノキ、そしてクラゲとしめじを和えた一品。それぞれに違う食感と風味があり、構成の意図は感じ取れる。シャキ、コリ、しっとりとした食感の差異が一皿に収まっている。 続く「広東風湯葉の春巻」は、皮の香ばしさと中のしっとりとした餡の対比が特徴。中身は野菜や茸を主体にし、味つけは穏やか。八角の香りがほのかに立ち上り、中華らしいニュアンスを加えている。 「フカヒレ姿の白湯醤油煮込み」は、存在感のある一皿。白湯と醤油を合わせた餡はしっかりとした濃度があり、味もやや強めの設定。フカヒレそのものの食感は申し分ないが、餡のなかに沈んでいるため、見た目の印象はやや控えめに映る。 「豚フィレ肉とレンコンのピリ辛み炒め」は、素材の組み合わせが素直。豚は柔らかく、レンコンのシャキッとした歯応えとの対比が効いている。山椒の香りが軽く立ち、辛味も穏やかで食べやすい仕上がり。 「鳥取産炙りサーモンのマヨネーズ仕立て」は、香ばしさとマヨネーズのコクが前面に出た構成。ナッツが加わることで多少の変化があり、まとまりはあるものの、マヨネーズの味が強く印象に残った。 「山椒香る白菜のスープ」は、見た目に控えめながら、白菜の甘みと軽やかな山椒の香りが広がる。コースの中での役割は明確で、流れを落ち着かせるような一杯。 「ゴボウの炒飯」は、炒め具合も良く、米の香ばしさが立っている。ゴボウはほんのりと香る程度で主張しすぎず、後半でもすんなりと食べ進められる。 最後の「デザート」は、杏仁豆腐、バニラアイス、果実のコンポート。甘さは控えめで、要素を混ぜて楽しむタイプ。 料理は全体的に落ち着いたコースという印象。特筆すべきはやはり空間の心地よさ。町家ならではの静かな佇まいに、個室ということもあり、外の喧騒を感じさせない穏やかな時間が流れていた。鴨川沿いという立地も手伝って、季節の移ろいを感じながら、ゆったりと食事ができる。華やかさではなく、静けさの中で過ごしたいときにぜひ。ご馳走様でした。 — 創作中華 一之船入050-5872-7716京都府京都市中京区河原町二条下ル一之船入町537-50https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260202/26002657/