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2025.12.29 夜

焼鳥、サイズは正義。@BIRD

焼鳥・焼きとん

金沢

10000円〜29999円

★★★★☆

金沢・本町。駅からほど近い静かな通り沿い、控えめな看板と暖簾が目印の焼鳥店『BIRD』。扉を開けると、黒を基調としたモダンで静謐な空間が広がり、目の前の焼き台から立ち上る炭火の熱気と香りが迎えてくれる。カウンターの内側には、客とまっすぐ向き合いながら、黙々と串に集中する大将の姿。必要以上の言葉は交わさずとも、その所作がすべてを語っている。一方で、やわらかな笑顔と軽やかな所作で場を包むのが女将さん。絶妙な距離感と温度感で、料理と客をつなぐ架け橋となっている。

コース一本で供されるのは、滋賀のブランド鶏・淡海地鶏。しっかりとした繊維と、噛むほどに広がる旨味。全体を通して感じるのは、火入れの強さと串のサイズ感、そして塩気のアタックだ。どの串も見た瞬間に「大きい」と感じさせ、そのインパクトが食べ手の期待値を引き上げる。いわば、大は小を兼ねる焼き鳥とでも言おうか。

コースの最初の「里芋蒸し」は、しっとり柔らかく蒸された里芋に味付けを施した鶏そぼろが絡む。とろみのある質感に鶏の旨味がじわりと染み込み、輪郭のある味わいがスタートにぴったり。

「ももにく」は圧倒的なサイズ感。皮目はパリパリと香ばしく焼き上げられ、内部は脂がしたたるジューシーさ。炭の香りと相まって、力強い一串に仕上がっている。

「ねぎま」は分厚くカットされた胸肉が主役。淡白な部位ながら火入れはしっとり、ネギの甘さと塩がアクセントとして効いてくる。

「椎茸」は金沢の生産者のもの。ぷっくりと肉厚で、噛んだ瞬間にじゅわっと旨味が溢れ出す。炭と水分のせめぎ合いを楽しむ一串だ。

「おしりの皮」は、その名の通り脂が主体。焼きの香ばしさと脂の甘さが同居し、脳が一瞬とろける。だが、口に残る余韻はやや重く、もう少しキレが欲しくなる場面も。

「背肝」はビターなコクがあり、塩の当たりも強め。酒との相性を想定しているのか、パンチのある設計だ。

「白玉」は、ブリンとした独特の弾力と淡白な旨味が魅力で、串の流れにやさしい起伏をもたらす存在。

対して、「ぼんじり」はまずその大ぶりなカットに驚かされる。脂の濃度が突き抜ける一方で、軟骨のようなコリッとした歯応えもあり、ただの脂身では終わらない立体感のある仕上がり。おそらく尾の付け根あたりまで含めて串打ちされており、部位としての面白さが際立つ。

濃厚な串が重なる中で登場する「親子和え」は、春菊のほろ苦さと鶏の旨味が織りなす小鉢。舌を一度リセットするような役割を果たし、コース全体にリズムを生む名脇役だ。

「さび焼き」は胸肉とわさびの鉄板の組み合わせ。清涼感があり、コースに再びリズムを与える一串。

「手羽先」は骨周りの旨味を凝縮させた、まさに終盤にふさわしい濃密な一品。パリパリと香ばしい皮に噛みつけば、炭と鶏の風味が鼻に抜ける。

続く「銀杏、安納芋」は串物の隙間を彩るやさしい一皿。秋らしいホクホク感が、コースに奥行きをもたらす。

「焼きおにぎり」は外側がカリカリ、中はふわっと仕上がっており、塩気の強さが印象的。ただし、別添えの鶏スープと合わせれば塩味が中和され、むしろ絶妙なフィニッシュになる。

全体として、塩気の強さとサイズのインパクトが印象に残る構成。良くも悪くも、すべてが“大ぶり”で攻めてくる印象だ。その強さゆえに、食べ疲れを感じる瞬間もゼロではない。だが、その強さこそがこの店の個性であり、酒と合わせる前提で設計された味でもある。アルコールとの連携を前提にすれば、むしろこれくらいの攻めが心地よく感じられるかもしれない。ご馳走様でした。

BIRD
076-232-3339
石川県金沢市本町2-2-14
https://tabelog.com/ishikawa/A1701/A170101/17005811/

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