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2025.12.12 夜

気負わず向き合える、街のフレンチ@セ’ラヴィー!ナガノ

フレンチ

新宿・代々木・大久保

5000円〜9999円

★★★☆☆

新宿御苑前、雑居ビルの地下に静かに灯るフレンチ『セ’ラヴィー!ナガノ』。1989年創業。流行を追いかけるでも、過去に寄りかかるでもなく、この街でフランス料理を気負わず向き合える存在として根付かせてきた老舗だ。店名の「C’est la vie!」は“これが人生”の意。気取らず、構えすぎず、それでいてきちんと美味い。その姿勢が、店の空気から皿の上まで一貫している。広さを欲張らない地下空間もまた、料理と向き合うにはちょうどいい距離感だ。

料理は王道のフレンチを軸に据える。シェフはグランメゾン出身とされ、クラシックの文法を身体に叩き込んだタイプ。だからこそ、派手な演出に頼らず、食材の組み合わせや火入れ、ソースの構成で勝負してくる。足し算はするがやりすぎない。結果、食べ進めるほどに納得感が増していく。

前菜の「ローストチキンのオニオンマリネ」。見た目は親しみやすいサラダ仕立てだが、ポーチドエッグを割った瞬間から表情が変わる。黄身のコクが全体を包み込み、バルサミコの酸が味の輪郭を作り、オニオンマリネが後味を軽く整える。野菜の瑞々しさから入り、卵のコクを経て、最後はきれいに切れる余韻へ。

主菜の「豚肩バラ肉のコンフィとソフトサラミのパイ包み焼き」は、よりフレンチらしい構成。しっとりと火入れされた豚の旨味に、サラミの塩気が重なり、パイの香ばしさが外側から包み込む。そこへ添えられるのは、野菜の旨味を丁寧に引き出したミネストローネ的なソース。肉と脂の厚みを受け止めつつ、味わいを一段軽く整える役割を担っている。濃厚ではあるが重たく引きずらず、全体の収まりがいい。このあたりに、グランメゾンで培われた基礎体力が感じられる。

シェフの料理は、自己主張を前に出すタイプではない。だが、なぜこの組み合わせなのか、なぜこの火入れなのか、その理由が皿の中にきちんと残っている。無理のない積み重ねがあるからこそ、この店は長く続いてきたのだろう。『セ’ラヴィー!ナガノ』は、強烈な一皿で記憶を塗り替えるフレンチではない。ただ、安心して身を預けられる味があり、食後には静かな満足が残る。新宿で、フランス料理と自然体で向き合いたい夜に、ふと思い出す一軒だ。ご馳走様でした。

セ’ラヴィー!ナガノ
03-3350-7610
東京都新宿区新宿2-8-10 ニッシンビル B1F
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130402/13006752/

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