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2025.12.08 昼

下北沢で見つけた、昭和の香りを残す喫茶店@トロワ・シャンブル

喫茶店・カフェ

京王・小田急沿線

1000円〜2999円

★★★★☆

下北沢の細い路地を奥へと進み、古びたビルの階段をぎしっと踏みしめると、タバコの煙とアンバー色の灯りがまざり合う空気がふっと体を包む。1980年創業の純喫茶『トロワ・シャンブル』。名前の由来は定かではないが、フランス語の柔らかな響きがこの空間の落ち着きによく馴染む。煙の匂いはそれなりに強いが、それすらも歳月の厚みとして店の空気に溶け込んでいる。

まず惹きつけられたのが「オレグラッセ」。白いミルクの層と琥珀色のコーヒーがくっきりと重なり、古いスタンドライトの光を含んでグラスの中で静かに揺れる。ひと口目はミルクのやさしさが前に出るが、そのすぐあとをネルドリップの深い苦味が追いかけてきて、飲む側の心をすっと引き締める。グラスを傾けるたびに二層がゆるやかに混じり、味の重心が少しずつ変化していくのが心地よい。

甘味は「チーズケーキ・レア」と「チーズケーキ・トルテ」を食べ比べ。レアはロイヤルコペンハーゲンの器にすっと馴染む端正な佇まいで、フォークが吸い込まれるように入る柔らかさ。口に広がるミルキーなコクのあとに葡萄のやさしい酸味がふっと現れ、軽やかさと満足感が絶妙なバランスで成立している。

一方のトルテは焼き色の香ばしさがまず主役。しっかりと焼き込まれた表面にねっとりとした生地が続き、チーズのコクと卵のまろやかさがじんわりと広がる。甘さを抑えた設計がコーヒーと見事に寄り添い、レアとはまったく違う方向性で仕上げているのに、どちらもこの店の空気に自然と溶け込むのが面白い。

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『トロワ・シャンブル』には、長い年月の積み重ねがそのまま空気として宿っている。タバコの匂いや灯りの色、席の配置や静かなざわめきまで、どれも作り込んだものではなく、自然に形づくられた落ち着きがある。階段を上がって扉をくぐった瞬間に外の時間から切り離されるような感覚があり、座っているうちに気持ちの速度がゆっくり整っていく。下北沢という街のにぎわいのすぐそばで、ふっと呼吸を深くできる場所。ご馳走様でした。

トロワ・シャンブル
03-3419-6943
東京都世田谷区代沢5-36-14 湯浅ビル 2F
https://tabelog.com/tokyo/A1318/A131802/13013091/

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