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2025.12.03 夜

時代の風をまといながら、しっかり旨い店@グリルビストロ POIVRER

フレンチ

銀座・新橋・有楽町

5000円〜9999円

★★★★☆

銀座の真ん中、ビルの10階。2025年2月、フロアから夜景が広がる空中階に新しい店がオープンした。『グリルビストロ POIVRER』。オープンしたばかりにもかかわらず、しっかりした大箱がきちんと埋まっている。空中階に大箱という条件では本来なら苦戦してもおかしくない。それでもなお席が埋まるあたり、この店には人を引き寄せる理由あるということだ。

その理由のひとつが、プロデューサー・吉田能氏の存在だ。

SNSやYouTubeで絶大な人気を誇る、今の時代性をまとった料理人。だが彼は、単にバズを生むだけの人ではない。しっかりと料理に向き合ってきたキャリアがあり、積み重ねがあり、料理を“見せる”だけでなく“作る側の論理”も持っている。今の時代性と料理人としての確かさ、その両方を兼ね備えているからこそ、この大箱をも一気に埋める求心力が生まれるのだろう。

最初に卓上へと置かれたのは「生ハムとグリッシーニ」。スライスされた生ハムの香りがふわりと広がり、舌の上で脂がほどける。その余韻を追うように、グリッシーニの香ばしさがカリッと入り込む。最初のひと皿としての役割を寸分違わず果たしてくる。

続く「タルタル」。皿の上にはシブレットが一面を覆い、緑の絨毯を敷いたような端正な佇まい。ナイフを入れると粗挽きの肉がむっちりと顔を出し、そこへふっと“藁の薫香”が立ち上がる。香りが肉の旨みに寄り添い、卵黄のまろやかさ、酸味、香草の清涼感と立体的に重なり合う。見た目は重厚なのに後味は驚くほど軽く、その落差に思わず唸る。動画で見るより実物のほうが、“理屈のある美味しさ”がよりはっきりと伝わってくる。

前菜は「根セロリ」。細く刻まれ、にんじんのラペを思わせるビジュアル。しかし口に入れれば印象は一変する。シャキシャキとした食感の奥から、根セロリ特有の香りがふわりと立ち上がり、ソースの酸味がすっと輪郭を整える。軽やかで、メイン料理への流れをつくる役割としても優秀だ。

そしてクライマックス、「炭火焼ステーキ」。黒々とした焼き目の下にルビー色の肉が隠れ、ナイフを当てただけで柔らかさが伝わってくる。ひと口食べれば炭火の香りと胡椒のキレが最初に走り、すぐに肉汁の甘みが押し返してくる。やわらか、と思わず声に出るほど自然な反応。焼き野菜も香ばしく、皿全体で肉を食べる快楽をまっすぐ届けてくる。

全体を通して、ビジュアルはクラシック、味わいは現代的なキレ。SNS的な映えだけでなく、料理としての根拠をしっかり持っている。吉田能氏の時代性と、料理人としての積み重ね。その両方が皿の上で矛盾なく共存しているからこそ、この店は“今の銀座”と自然に呼吸が合うのだと思う。結論、『グリルビストロ POIVRER』は、夜景を眺めつつ肩の力を抜きたい夜に、ふと選びたくなる一軒だ。肉とワインの気分の日には、迷わず候補に入れていい。ご馳走様でした。

グリルビストロ POIVRER
050-5595-5422
東京都中央区銀座8-2-1 ニッタビル 10F
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130103/13303761/

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