2025.11.22 昼 老舗の餅仕事が光る、名物みかん大福@御菓子司 角八本店 デザート 銚子・九十九里 〜999円 ★★★★☆ 九十九里浜に寄り添うように広がる千葉県長生郡一宮町。その門前町の空気を今も色濃く残す一角に、江戸時代中期創業と伝わる老舗『御菓子司 角八本店』が暖簾を掲げている。玉前神社の門前で菓子を作り続けてきた歴史があり、長い年月の積み重ねが店構えから自然と漂う。地域の暮らしの中にずっとある存在で、和菓子屋としての佇まいに安定感がある。 角八の菓子を語るなら、まず餅生地の仕上がりを外すわけにいかない。餅菓子の品揃えが多いのも特徴で、その中でも季節になると多くの人が求めに訪れるのが冬季限定の「みかん大福」。大きな暖簾にも描かれる名物で、みかんをまるごと包むという潔い構造が目を引く。 最も驚くのは、その生地の薄さ、柔らかさ、伸び。指が沈むほど柔らかいのに破れない。これは水分調整や練り上げのタイミングがシビアだからこそ成せるもので、餅を扱い慣れた老舗の仕事がはっきり現れる部分だと思う。果汁が多い果実を包んでもべしゃっとしないのは、この生地の強さがあってこそ。 ひと口かじれば、皮を剥いた瞬間のようなみかんの果汁がじゅわっと広がり、みかん本来の甘酸っぱさが一気に弾ける。餅は味の主張をせず、ただ口どけの軽さだけを残して消えていく。後味にはみかんの青い香りがふっと残り、季節を感じる締めくくり。食べ進めるほどに餅が良いから成立している大福だと実感させられる。 老舗の安定した手仕事と旬の素材がしっかり結びついている店。それが角八本店の魅力だと思う。みかん大福はそのわかりやすい象徴で、一宮を訪れたなら素直に寄り道したくなる一品。季節が変わればまた違う表情を見せてくれそうで、折に触れて思い出したくなる和菓子屋だ。ご馳走様でした。 — 御菓子司 角八本店0475-42-2068千葉県長生郡一宮町一宮3012https://tabelog.com/chiba/A1205/A120504/12001158/