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2025.11.13 昼

変わらない仕事が積み上げる、豊橋の天ぷら@天源・天ぷら専門店

天ぷら

田原・豊橋・新城

1000円〜2999円

★★★★☆

豊橋駅の東側、ひっそりと続く階段を降りた先に現れるのが、六十年以上この街で天ぷらを揚げ続ける老舗『天源・天ぷら専門店』。大将と女将さんが静かに営むカウンターで、銅鍋の前に立つ大将の所作を眺めているだけで、この場所が長く愛されてきた理由がなんとなく伝わってくる。

この日は「天ぷら定食」を選択。まず柱となる海老四本が据えられ、その周りを季節の野菜五種と魚の一品が静かに彩る。そこへサラダや茶碗蒸しがそっと添えられ、御飯と味噌汁が全体をまとめるという流れだ。これで2420円というのだから、いかに良心的なお店であるかが伝わってくる。

まずは主役の「海老四本」。衣の軽さが海老の甘さをすっと引き立て、噛んだ瞬間のぷりっとした弾みが心地よい。薄衣だからこそ中の身が素直に主張し、後味も軽やか。四本という量でありながら、不思議と重さを感じさせないのは、油の扱いの上手さゆえだろう。

「ヤングコーン」は、噛んだ瞬間に瑞々しさがはじける。穀物らしい甘みが衣の隙間から立ち上がり、そのまま余韻へとつながっていく。

「蓮根」は厚めの切り方で、ほくっとした食感にシャクッとした歯切れが混ざる。衣が薄いからこそ、蓮根そのものの味が素直に響く。「茄子」はとろりと火が入り、噛むと熱い汁がじゅわっと広がるタイプ。油との相性が良く、茄子の甘みがふわりと膨らむ。

「舞茸」は香りのボリュームが印象的で、揚がった直後の湯気に鼻を近づけると、茸の香りがしっかり立ち上がる。

締めの「薩摩芋」は中心までしっとり火が入り、自然の甘さがゆっくりと広がる。ここまで薄衣で進んできた流れの中で、少し厚みのある甘さが心地よいアクセントになっていた。

ご飯は粒立ちが良く、揚げ物の油と出汁の香りが混ざると、思わずもう一口と手が伸びる。味噌汁はきれいな出汁の余韻で、食後の口をやわらかく整えてくれる。

脇を固める皿としては、まず口ならしに登場するのが「大根のサラダ」。千切りの瑞々しさがすっと喉を通り、揚げ物に向けた身体の準備運動のような役割を果たしてくれた。

そして終盤にそっと置かれる「茶碗蒸し」。出汁を芯にした滑らかな味わいで、ふっと肩の力が抜ける一品。

静かに積み重ねてきた時間が、そのまま皿の上に表れるような店だった。揚げたてが並ぶたびに、大将の丁寧な仕事がじわりと伝わってくる。豊橋で落ち着いて天ぷらを味わいたい時、ふと思い出したくなる場所である。ご馳走様でした。

天源・天ぷら専門店
0532-54-9002
愛知県豊橋市広小路1-42
https://tabelog.com/aichi/A2306/A230601/23026087/

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