2025.11.04 夜 静けさに溶ける音とカレー@moonbow カレー 京王・小田急沿線 1000円〜2999円 ★★★☆☆ 世田谷の静かな通りに、月の虹の名を冠した一軒が灯る。『moonbow(ムーンボウ)』。かつて南新宿の裏路地で、カレーと音楽をめぐる小さな交差点のように存在していた店は、場所を変えてもその輪郭を濁すことなく、むしろ静かに澄ませていた。 この日は夜の訪問。青い扉を開けると、空間は完全に“バー”の顔をしている。照度を抑えた柔らかな灯りに包まれ、壁にはレコードが整然と並ぶ。静かなグルーヴが流れ、音と人と酒が穏やかに共存する空気。その中で、しれっと供されるのが一皿のカレーである。ここはカレー屋なのか、ミュージックバーなのか──その答えを曖昧にしたまま成立しているのが、この店の魅力だ。 火曜の定番「チキンカレー」は、月明かりのように静かで、優しい佇まいの一皿。ルーはシャバシャバのスープタイプで、第一印象はとにかく軽やか。油分はごくわずかで、玉ねぎの甘みがじんわりと土台を支える。その上に、クミンやカルダモン、クローブなどのスパイスが重なり、薬膳的とも言える清らかな香りを放つ。刺激よりも調和、主張よりも余韻を感じさせる味わいだ。ターメリックライスはパラリと炊き上げられていて、ルーの吸い込み方も心地よい。 暗がりの中だったので色までははっきり見えなかったが、むしろその“見えなさ”が味に集中させてくれる気もした。世田谷に舞台を移して、moonbowはますます“moonbowらしさ”を深めた印象。静かで、控えめで、でも確かに残る。その存在感は、他に代えがたい。 ご馳走様でした。 — moonbow03-5432-9077東京都世田谷区代沢3-14-2https://tabelog.com/tokyo/A1318/A131801/13300415/