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2025.10.15 夜

恵比寿に芽吹く、期待の新星@鮨こばやし

寿司

六本木・麻布・広尾

30000円〜49999円

★★★★☆

恵比寿の夜に静かに幕を開けた新店、『鮨こばやし』。名店『鮨 さいとう』で研鑽を積み、『鮨 さいとう はなれ NANZUKA』で大将を務めたのちに独立。白木のカウンターがまぶしく光り、まだ胡蝶蘭の香りが空間を満たす。その中には「やま幸」をはじめ、名だたる寿司職人たちからの花が並び、彼が同業からどれほど祝福されているかを物語る。夫婦で迎える穏やかなもてなしも、この店の空気にぴたりと合っている。

つまみは二品。「平目」は透明感のある旨味に塩と酢橘の香りが寄り添い、軽やかに食欲を導く。

「鮑」はやさしい火入れで柔らかく、噛むほどに海の香りが滲む。控えめな品数ながら、確かな腕と落ち着いた立ち上がり。握りへの期待が自然と高まる。

「真鯛」は寝かせ加減が絶妙で、ねっとりとした甘みが舌に残る。

「小肌」は江戸前らしい締めの冴えがあり、酸の立ち方が上品。

「鰆」は、脂の甘みと香ばしさの抜けが心地いい。

「鮪」はやま幸のもの。脂の香りが穏やかで、切りつけの美しさに見惚れる。「中トロ」はしっとりとした舌触りで、シャリに寄り添うように溶けていく。

「大トロ」は薄造りを二枚重ねにした仕立てで、脂の層が重なりながらゆっくりと旨味を広げていく。

「漬け」は香りと塩梅が落ち着いており、全体を引き締める古典的な仕事。

「烏賊」は包丁の細やかさが生む甘み、

「いくら」は粒立ちが美しく、海の香りが軽やかに抜ける。

「牡丹海老」は濃厚な甘みと塩のコントラストが印象的。

「鯵」は堂々とした姿で、脂のノリと身の締まりが両立。

「雲丹」は澄んだ甘みで、口に含むと静かに消えていく。

「赤貝」は歯切れの良さと鉄分の余韻が心地よく、

「穴子」はふっくらと煮上げて香ばしい香りを残す。

「干瓢巻き」では、酸味がやさしく締めの余韻を作った。

シャリは穏やかな酸味で、握りの圧も軽やか。ネタに自然と寄り添うような仕立てが印象的だった。派手な演出こそないが、一貫ごとに丁寧な仕事が積み重なっている。

『鮨こばやし』──恵比寿に生まれた、清潔感と確かさのある一軒。やま幸の鮪をはじめ、素材選びから手仕事まで隙がない。華やかな胡蝶蘭に囲まれながらも、足元はしっかりと地に根を張っている。こういう店こそ、時間とともに育っていくのだろう。ご馳走様でした。

最後に。この日のカウンターには、お祝いの席を華やかに飾るワインが並んだ。泡は Ulysse Collin の「Les Pierrières」(コートー・デュ・プティ・モラン)と Jacques Selosse の「Initial」。白は Coche-Dury の「Meursault」と Joseph Drouhin の「Montrachet Marquis de Laguiche」。赤は Armand Rousseau の「Chambertin」。

どれも幹事様にご馳走いただいたものばかりだが、グラスに注がれるたびに祝福の空気が一段と深まっていく。花の香りとワインの香りが交わり、夜が少しだけ艶を帯びた。素敵なワインは、素敵なオープンにぴったりだった。

鮨こばやし
東京都渋谷区恵比寿2-18-8 恵比寿アバックビル 2F
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130302/13314891/

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