2025.10.13 夜 裏なんば、立ち飲みの油と音。@ 高田揚揚 居酒屋・定食 大阪市 1000円〜2999円 ★★★☆☆ 大阪・難波千日前。ネオンの裏側、人ひとりがやっと通れるような細い路地を進むと、ふっと現れる光の看板。そこが『高田揚揚』。どこか「高田馬場」を連想させるような響きだが、舞台はれっきとした大阪の裏なんば。この地に数多くの立ち飲みを展開する“クラマ計画”の系列店で、ここもその系譜に連なる。気取らず、けれど手は抜かない。そんな哲学が、この店の油の香りに宿っている。 まずは「牛煮込み」。赤味噌仕立ての濃厚な香りが立ち上がり、口に含むと牛すじのコラーゲンがとろりと溶ける。甘辛の味わいに、刻み葱の清涼感がアクセント。こんにゃくのぷるぷるとした食感も楽しく、定番ながらしっかり仕事を感じる一品だ。七味を追加でもらえば、さらにつまみとしての機能を確かなものに。 「鶏しゅうまい」は、見るからに肉厚。ひと口頬張ると、鶏の旨味がぎゅっと詰まった肉汁がじんわりと溢れ出す。ふっくらと蒸し上がった生地に、ほどよい塩気が寄り添う。シンプルながら、噛むほどに真面目な味が顔を出す。 「しっとりささみフライ」は、この店の“揚揚”たる所以を感じさせる。中心はほんのりレアで、しっとりとした食感。衣は軽やかに立ち上がり、油の温度管理の巧さを物語る。惜しむらくは、この日の油がやや重く、香りに雑味が残ったこと。だが、その完成度には名折れなし。 そして締めにいただくのが、店の看板「高田の玉子カツサンド」。ふわりとした白パンの間に、サクッと揚がったカツととろりとした玉子の層。パンの甘み、衣の香ばしさ、卵のまろやかさが一口の中で自然に重なり合う。立ち飲みの一皿としては十分すぎる完成度だが、この夜は少しだけ油が重く、後味にわずかな滞りが残った。それでも、食べ終えた瞬間の満足感は確かなものだった。 『高田揚揚』は、立ち飲みの空気感の中に、確かな満足感を作る店だ。揚げの音とともにゆるやかに気分が上がっていく。油の香りに包まれながら、グラスを傾けるその瞬間が、この店のいちばんの魅力だ。ご馳走様でした。 — 高田揚揚大阪府大阪市中央区難波千日前4-35https://tabelog.com/osaka/A2701/A270202/27141657/