2025.10.04 昼 南インドと日本の土が出会う皿@南インド料理 葉菜 世界料理(アジア) 船橋・市川・浦安 1000円〜2999円 ★★★★☆ 八千代・勝田台の住宅街に、やわらかなスパイスの香りを漂わせる一軒がある。『南インド料理 葉菜』。2009年創業。店名の通り“葉と菜”を掲げ、野菜を主役にした南インド食堂だ。店主は自家栽培や地元の農家から届く旬の野菜を使い、スパイスの力でその魅力を最大限に引き出す。アーユルヴェーダの思想を背景に、油を控えめに、体にやさしいミールスを作り上げている。 スペシャルのミールスでは、ベジ(菜食)とノンベジ(肉・魚)から一品ずつ選ぶスタイル。この日はベジから「ホウレン草のクートゥ」、ノンベジから「ポークビンダルー」をチョイス。ふたつの異なる世界が、一枚のバナナリーフの上で自然に調和する。 「ホウレン草のクートゥ」は、豆と野菜をココナッツで優しくまとめた穏やかな一皿。ホウレン草の青みと豆の甘みがほどよく重なり、スパイスは控えめにして素材の味を際立たせる。安心感のある味わいだ。「ポークビンダルー」はその対極。ビネガーの酸味が立ち、トマトと玉ねぎの甘みが奥行きを加える。豚肉はほろりと柔らかく、酸味と旨味が交差する中にしっかりとしたキレがある。食べ進めるごとに、辛味・酸味・甘味のバランスが心地よく変化していく。 副菜の一つひとつも丁寧な仕事ぶり。「ダルカレー」は豆の旨味で舌を整え、「季節のサンバル」にはとうがんを使用。野菜出汁の滋味が優しく広がる。「ラッサム」はトマトとタマリンドの酸味で輪郭を引き締める。さらに、「人参のポリヤル」はマスタードシードの香ばしさが印象的で、「空芯菜のスパイス炒め」は軽やかな土の香りを残す。「ゴーヤのピクルス」や「デーツのチャツネ」、「ココナッツチャトニー」など、小皿が生む味のコントラストが楽しい。 主食は南インドの細長い米。軽やかで粘りが少なく、サンバルやラッサムとの相性は抜群。混ぜ合わせるほどに味の層が変化し、スパイスと野菜の個性が自然に溶け合う。最後の一口まで飽きず、むしろ次の一匙を誘う。 店主・藤田さんはインドを旅し、現地の食文化を学んだのち、日本の土壌とスパイスの調和を探求してきた料理人。畑で採れる野菜の生命力を、そのままスパイスの香りにのせて届ける。その姿勢が、皿の上に静かな説得力を与えている。『南インド料理 葉菜』。それは、南インドの知恵と日本の土が交わる場所。ベジもノンベジも、どちらも同じ“自然の恵み”として一枚の皿に共存している。穏やかで芯のある南インド、ここにあり。ご馳走様でした。 — 南インド料理 葉菜047-482-8974千葉県八千代市勝田台1-13-32 MTビル 1Fhttps://tabelog.com/chiba/A1202/A120204/12012667/