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2025.09.19 朝

会員制おでん×名古屋の名店コラボ@宵音

日本料理

★★★★★

港区某所に潜む会員制の隠れ家『宵音』。寿司の「nigiri」や焼肉の「未完」を展開するグループの一員であり、いずれも“100人だけ”に門戸を開くという徹底したスタイルを共有している。100という限られた数字が、特別な体験を保証する合言葉。宵音は普段「おでん」を軸に据えるが、この夜はその顔を封印し、コラボレーションという名のまったく違う景色を見せてきた。

相手は名古屋の名物「矢場味仙」。台湾ラーメンを世に広めた存在で、地元では日常食でありながら、一度食べれば体が勝手に欲するような中毒性を秘めている。にんにくと唐辛子をこれでもかと使いながらも、後味には澄んだ旨味が残るのが特徴。近々渋谷に新店を構える予定もあり、この夜はある意味プレオープンのような立ち位置だった。

料理はまず「ザーサイ漬け」。パリッとした歯切れとじんわり広がる辛味が、スタートの合図を鳴らす。

「ほうれん草炒め」はにんにくの強烈な香りを纏いつつ、青菜の甘みをしっかり残す潔い一皿。

「砂肝炒め」はコリコリ食感と唐辛子の辛味がストレートに響き、酒を自然と呼び寄せる。

「ニラレバ炒め」はレバーの濃厚さをもやしとニラの軽さが支える王道の構成だが、ここでは生姜のニュアンスが力強く主張し、全体をキリッとまとめていた。

「エビマヨネーズ」はぷりぷりの身に濃厚なソースが絡み、懐かしさとジャンクさの両方を兼ね備える。

「マーボトーフ」は辛さと痺れの波に包まれながらも、肉味噌の旨味が着地点を与えていた。

そして「あえて選んだホルモンラーメン」。台湾ラーメンの赤さとは異なり、見た目は澄んだスープ。しかし一口すすると、立ち上がるのは強烈なにんにくの香り。その圧倒的なパンチが舌を支配し、ホルモンの旨味と牛肉のコクが後から追いかける。香味野菜が骨格を整え、ただ濃いだけでなく、清湯のような澄んだ輪郭を残すのが面白い。赤くなくても、これは間違いなく味仙の血統を引いた一杯だ。

締めは「台湾ちまき」。もち米の甘さと葉の香りが全体を優しく包み、強烈な流れを穏やかに収めてくれる。

そしてデザートの「杏仁ソフト」。冷たさと控えめな甘さが口いっぱいに広がり、強烈なにんにくと辛味の余韻をすっとリセット。最後に笑顔を残す一匙だった。

100人しか立ち入れない宵音という舞台で、名古屋のソウルフードを背負う矢場味仙が披露した贅沢な一夜。ジャンルも土地も越境したこの出会いは、単なるコラボレーションではなく、「ここでしか味わえない時間」を見事に形にしていた。渋谷で始まる新章を予感させる夜、ご馳走様でした。

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