2025.09.14 夜 独自路線を走る寿司屋の挑戦@鮨くにみつ 寿司 中野~西荻窪 10000円〜29999円 ★★★☆☆ 東中野の駅前、2階に構える寿司屋『鮨くにみつ』。2022年創業とまだ若いが、掲げる哲学は明快だ。「他と同じことをやっても仕方ない」。江戸前の王道に背を向けるのではなく、自らの文脈を積み重ねていく姿勢こそが、この店の個性だろう。海外経験豊富な大将は英語も自在、ジョークを交えて場を和ませる。インバウンドに愛されていることが伝わる。 シャリは米酢で穏やか、やや大ぶりでかため。土台はクラシックに見せながら、のせるネタは独自路線だ。 「甘海老」は静岡茶葉で締め、甘さを清涼感で整える。 「桜鱒」は温かい木の子のすりながし仕立て、香茸で森の香りを重ねる。 「真鯛」は四日熟成にへべすを添えて、酸味でキレを加える。 「帆立」は北海道産を低温で火入れ、鰹出汁由来の香りが立ち上る。これがこの日のMVP。 「鰹」は玉ねぎジャムを合わせる変化球。甘さではなく酸と醤油でまとめ、赤身の力を増幅させる。 「春巻き」は寝かせたカンパチと大浦牛蒡を包み、味噌と落花生、山椒が効いた一品。寿司屋の枠を飛び越える。 「とろとエシャロット」は味噌の強烈な塩気と脂が押し寄せる巻物。 「秋刀魚」は酢の粕を使った青ネギペーストをのせ、秋刀魚の脂を受け止める。 「真魚鰹」は一週間寝かせ、茶葉の佃煮を添える。熟成の旨味に苦味が寄り添う。 「ピーマンの鯖詰め」はかなり新しいシルエット。鬼おろしとザーサイ浅漬けを添える。 「車海老」はスチームで蒸し上げ、ふわっと柔らかく、素材の甘さをそのまま届ける。 「インド鮪」は漬けで。漬け地の旨味とシャリの酸が溶け合い、王道の一手を自分の色にしている。 「紫雲丹」は根室産を塩水で扱い、濃厚さと清涼感を両立。口に広がる瞬間が幸福感が広がる 「鮪のへしこ」は自家製。最後は鮪節の出汁で茶漬けで楽しませる。 「穴子」はタレも塩も使わず、火入れと骨抜きの技だけで勝負。個人的には塩をふった方が旨いとは思うが。笑 仕上げに「かっぱ巻き」と 「味噌汁」。 デザートにはプリンやマカロンなど、海外も意識したような甘味で締める。このあたりにも、大将の海外経験とインバウンドへの目線が透けて見える。 もちろん、挑戦がすべて成功しているわけじゃない。だが、「帆立」や「紫雲丹」に見られる完成度、そして「鮪のへしこ」や「春巻き」に表れる独創性。伝統を守る寿司屋ではなく、寿司を更新する寿司屋という感じ。ご馳走様でした。 — 鮨くにみつ050-5589-6674東京都中野区東中野5-3-6 東中野トーシンビル 2Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1319/A131901/13274106/