2025.08.31 昼 蕎麦と漬物が主役、これぞ信州テロワール@蕎麦 ふじおか そば 長野・志賀高原・北信濃 5000円〜9999円 ★★★★☆ 森に囲まれたロッジ風の一軒家――それが信州の隠れ蕎麦処『蕎麦 ふじおか』。木の香りが漂う空間にクラシックが流れ、ピアノが静かに置かれている。その雰囲気は、都会の喧騒を忘れさせるために設計されたかのようだ。ここで供されるのは「せいろそば」を中心としたコース料理のみ。潔い構成の中に、土地の恵みをどう伝えるか――そんな哲学が感じられる。 「季節の野菜料理の盛り合わせ」は、例えば長野パープルと桃の白和えに山菜の煮浸しなど、多様な調理法で野菜を楽しませてくれる皿。甘みと酸味が重なる果実の白和えには信州らしい豊かさが宿り、青菜や山菜からは畑や山の匂いがふわりと立ち上がる。 続く「そば雑炊」は、土鍋で供される滋味深い一品。出汁のやわらかな旨味に、野草の香りやとうもろこしの甘みが重なり、自然そのものを食べているような感覚に浸れる。 追加でいただいた「そばがき」は、しっとりとした口溶けが秀逸。シンプルゆえにそば粉の香りと力強さが際立ち、わさびが清々しいアクセントになる。 そして主役の「せいろそば」。細打ちで、緑がかった色味が新鮮な印象を与える。口に含めばすっと伸びやかに広がる香り、きりっと辛口のつゆで輪郭を引き締め、最後はとろりとした蕎麦湯で締める流れが見事に整っている。 特筆すべきは「漬物」。信州といえば味噌や野沢菜を中心とした漬物文化が根付く土地柄。その文化を映すように、きゅうりや茄子、大根など、さまざまな漬物が並び、それぞれの食感や発酵の風味が食中のアクセントになる。単なる箸休めではなく、蕎麦や野菜料理と肩を並べるもう一つの主役だ。 ここには、信州の自然と食文化をまるごと体感させてくれる一貫した世界観がある。山の恵みを映した野菜、土地に根付く漬物文化、そして主役の蕎麦。その全てがひとつのコースに収束している。森の空気を吸いながら味わう一皿一皿は、ただの食事を越えて「信州を食べる」体験そのものだ。旅の途中にわざわざ足を運ぶ価値が、確かにここにはある。ご馳走様でした。 — 蕎麦 ふじおか026-239-2677長野県長野市上ヶ屋2471-2066https://tabelog.com/nagano/A2001/A200101/20000415/