2025.08.26 昼 ただの老舗にあらず、ラーメン史に残る一杯@永福町 大勝軒 ラーメン・つけめん 京王・小田急沿線 1000円〜2999円 ★★★★☆ 永福町の駅前の行列は日常の風景。その先にあるのは1955年創業の「大勝軒」。ラーメン好きが“大勝軒”と聞けばまず思い浮かべるのは、つけめんで有名な東池袋大勝軒だろう。だが、ここ永福町は全くの別流派。山岸一雄が広めた“つけめん文化”に対して、草村賢治が築いたのは“中華そば文化”。同じ「大勝軒」の名を掲げながらも、両者はまったく異なる道を歩んでいる。 永福町大勝軒の象徴は、まずその丼のサイズだ。標準の中華麺ですら他店の大盛りを軽々と超える麺量。 やわやわに茹で上げられた中細縮れ麺は、澄んだ煮干しスープをしっかりまといながら胃袋に収まっていく。 スープは大量の煮干しを大鍋で豪快に煮出し、動物系の旨味で骨太に支える清湯仕立て。レンゲを運ぶと、煮干し特有の香りと苦味、甘みが幾重にも重なり、飲み進めるほどにクセになる。東池袋の濃厚な動物魚介系とは真逆の方向性、だがどちらも中毒性を持っている点は共通している。 具材はシンプル。薄切りの「チャーシュー」は丼を覆い尽くし、スープに浸ることでしっとりと旨味を増す。「メンマ」が歯ごたえを生み、ネギが香りの輪郭をつける。そして名物「生卵」。すき焼きよろしく麺を潜らせると、まろやかさが加わり、煮干しスープに新たな表情が生まれる。 永福町大勝軒とは、ただの老舗ではなく、ラーメン界に確固たるジャンルを築いた存在。東京ラーメン文化の古典をいまに残すと同時に、その系譜は全国に広がり続けている。その一杯に向き合うことは、行列に並ぶという時間すら含めて、ラーメン史を体験する行為そのものだ。ご馳走様でした。 — 永福町 大勝軒03-3321-5048東京都杉並区和泉3-5-3https://tabelog.com/tokyo/A1318/A131805/13011769/