2025.08.13 昼 ここから始まった、ハヤシライスの物語@M&C Cafe 丸の内オアゾ 喫茶店・カフェ 東京・日本橋 1000円〜2999円 ★★★★☆ 早矢仕——漢字だけを見れば、人の名なのか、はたまた何かの銘なのか、一瞬迷う。実は、これで「ハヤシ」と読む。あの「ハヤシライス」の産みの親の名である。明治の初め、書店「丸善」を創業した早矢仕有的氏が、友人をもてなすために肉や野菜を煮込み、ご飯を添えてふるまったのが始まりと伝わる。文明開化の薫りと共に、その物語は長く受け継がれ、今も「丸善」と共に息づいている。 その舞台が、東京駅丸の内北口のランドマーク「丸の内オアゾ」。ここは丸善の旗艦店を核に、知と文化が集う複合空間。その奥にひっそり構えるのが、早矢仕ライスの系譜を今に伝えるカフェ『M&C Cafe』だ。書棚を抜け、活字の香りを背に席へ着けば、まるで物語のページを一枚めくったかのように、食の歴史が眼前に広がる。 いただいたのは、一番スタンダードな「ポーク早矢仕ライス」。 深い褐色のルーは、長時間煮込まれたデミグラスのコクに、ほのかにスパイスの刺激が走る。とろりとした口当たりの中に、ほろほろと崩れる豚肉が潜み、白いご飯とのコントラストが視覚的にも食欲を誘う。口に運べば、甘みと酸味が最初に広がり、その余韻を追うように心地よい辛さがやってくる。ピクルスの軽やかな酸味と、フライドオニオンの香ばしさは、味の展開に違った印象を与える。 サイドには、シャキシャキとしたキャベツとリーフレタスのサラダ。コーンの甘みとドレッシングの酸味が、濃厚なルーを受け止め、口の中を軽やかにリセットしてくれる。 ここを訪れる理由は明快だ。早矢仕有的が生んだ洋食文化の原点を、本と共に味わえる唯一無二の場所だから。東京駅からわずか数分、あなたもぜひ歴史の続きを1ページをめくってみてほしい。ご馳走様でした。 — M&C Cafe 丸の内オアゾ03-3214-1013東京都千代田区丸の内1-6-4 丸の内オアゾ 4Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13010996/