2025.08.13 昼 日本最古の喫茶で、歴史の一部になる@カフェーパウリスタ 喫茶店・カフェ 銀座・新橋・有楽町 1000円〜2999円 ★★★★☆ 創業は1911年、日本のカフェ文化の幕開けを告げた老舗喫茶。ブラジル・サンパウロ州政府からコーヒー豆の無償提供を受け、その魅力を広める拠点として銀座に誕生した。店名の「パウリスタ」は“サンパウロっ子”を意味し、ブラジル移民との深い縁を物語る。エンブレムに刻まれた市章も、そのルーツを物語っているそうだ。 この店を輝かせてきたのは、豆だけじゃない。芥川龍之介、菊池寛、平塚らいてう、獅子文六…文豪や文化人たちが集い、会話を交わし、作品の断片を生んできた場所でもある。芥川の短編「鏡」にも登場し、その冷たくも不思議な空気感が活字に刻まれた。時を経て1970年に銀座で復活すると、1978年にはジョン・レノンとオノ・ヨーコが3日連続で訪れ、パウリスタオールドを楽しんだという逸話も。さらにはアインシュタインが博多支店でコーヒーを飲んだ記録まで残っている。名前を並べるだけで、時代の厚みがぐっと増す。 そんな歴史に包まれながらいただいたのは、30年以上愛されてきた名物の「キッシュ」。パイ生地に玉ねぎと季節の野菜、チーズを敷き、卵と生クリームのソースを流し込み焼き上げる。こんがり香ばしい表面、切った瞬間にふわっと立ち上る湯気。チーズとハムの塩気が卵のまろやかさに絡み、野菜の甘みが全体をやさしくまとめる。サクサクのパイとしっとりフィリングのコントラストが心地いい。 セットのアイスティーは、渋みと香りがすっと口を洗い、食後の余韻を軽やかにする。添えられたジュースも、昔ながらの喫茶店らしい小さなご褒美だ。 100年以上の歴史と、文豪や巨匠を惹きつけた空気。その中で食べるあつあつのキッシュは、ただの軽食以上の価値を持っている。ここに腰を下ろせば、少しだけ自分もその歴史の一部になれる気がする。ご馳走様でした。 — カフェーパウリスタ03-3572-6160東京都中央区銀座8-9-16 長崎センタービル 1Fhttps://tabelog.com/tokyo/A1301/A130103/13002648/