2025.08.03 昼 千駄木の空気をそのまま焼いたような、老舗せんべい@菊見せんべい総本店 デザート 上野・浅草・日暮里 〜999円 ★★★☆☆ 千駄木の静かな通りにぽつんと構える、明治創業の老舗『菊見せんべい総本店』。建物は年季の入った木造、格子戸に丸い看板が印象的で、街の風景に溶け込むように存在している。観光客向けに飾るわけでもなく、地元の日常の中にすっとある。そんな距離感が、この店の魅力でもある。 せんべいのラインナップは多彩で、店頭には量り売りの品がずらりと並ぶ。ガラス越しの瓶詰めや平積みされたせんべいたち、昔ながらの売り方がそのまま残っていて、見ているだけでも楽しい。今回はあえて個包装のせんべいを中心に手に取ったが、がさっと袋で買って、ばりばりかじるのが正解だろう。 「醤油せんべい」は香ばしさと甘みのバランスが良く、ザクザクの噛み応えが心地いい。奇をてらわないからこそ、焼きの加減や米の風味にごまかしが効かない。「甘せんべい」はその名の通り、ほんのりとした甘さがじんわり広がる。軽やかな食感がクセになるタイプだ。「茶せんべい」はややしっとり目、抹茶の苦味がふんわり香る上品な設計。「唐辛子せんべい」は後から追いかけてくる辛さが気持ちよく、辛味と醤油のコンビが意外にクセになる。「胡麻せんべい」は黒ごまの香ばしさがとにかく強くて、香り好きにはたまらない一枚。 千駄木という町が持つ空気と、この店の佇まいはどこか重なっている。特別なものではなく、静かに積み重ねられた“いつも通り”のうまさ。観光で立ち寄るのもいいが、できれば、ふとした午後に思い出してほしい一軒。ご馳走様でした。 — 菊見せんべい総本店03-3821-1215東京都文京区千駄木3-37-16https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131106/13018372/