名物はどら焼きの皮！？@文明堂茶館 ル・カフェ

横浜・元町の華やかな通り沿いに構える、老舗・文明堂の店舗。その奥にひっそりと広がるのが『文明堂茶館 ル・カフェ』だ。表は品格ある菓子舗、奥は静かな喫茶室。その奥行きのある構えに、文明堂の懐の深さがにじむ。創業は明治33年（1900年）。長崎カステラの名門が、ここにはどら焼きの“皮”に焦点を当てるという、ちょっと風変わりな提案がある。

その名も「パステル」。あんこを挟まず、皮だけで供される一皿。だが、一口食べれば分かる。これは決して抜け殻ではない。むしろ、どら焼きという菓子の“核”が、ここに凝縮されているのだ。焼き色はつややか、表面はふんわり、手に取ればしっとりとした温もり。ナイフを入れると、むっちりと弾力があって、香ばしい香りがふわりと立ち上がる。卵と蜂蜜のやさしい甘みがじんわりと広がるその瞬間、思わずこう言いたくなる。

「これはもはや、どら焼きではなく、ホットケーキの領域だ。」

どら焼きの皮が、ここまで菓子としての力を持っていたのかと、ちょっと驚いてしまう。トッピングは「手作りシロップ」や「バター」などから選べる仕組み。温かな皮にシロップが染み、バターがじんわり溶け出すと、甘さと塩気のコントラストが皮の味をより豊かに引き立ててくれる。ただ、追加の何かに頼るというより、まずはそのまま皮だけを楽しんでほしい。

焼きの精度、生地の設計、素材の選び。どれもが高い水準で揃っているからこそ成り立つスタイル。ふざけているようで、根底には本気の技術と思想が通っている。老舗の余裕と遊び心が、心地よく同居しているのだ。ご馳走様でした。

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文明堂茶館 ル・カフェ
045-243-0002
神奈川県横浜市中区伊勢佐木町1-5-3 文明堂ビル　１Ｆ
https://tabelog.com/kanagawa/A1401/A140104/14003248/