2025.07.29 昼 1938年の記憶を継ぐ、野毛のハンバーグ@洋食キムラ 野毛店 洋食 横浜市 1000円〜2999円 ★★★☆☆ その源流は、1938年。関内に開かれた「銀座ランチカウンター2号店」という小さな洋食店から『洋食キムラ』の物語は始まる。創業者の貴邑富士太郎(きむら ふじたろう)氏は、当時まだ珍しかった“洋食”を、もっと多くの人に楽しんでもらいたいという想いから、横浜でその扉を開いた。現在では三代にわたって継承される老舗となり、なかでも野毛店は、本店格として長年この味と理念を守り続けている。 看板メニューはもちろん「ハンバーグステーキ」。運ばれてくるのは、鋳鉄製の貝殻型スキレット。その上で、ハンバーグとともに目玉焼きが静かに仕上がっていく。覆いかぶさるようにたっぷりとかかるデミグラスソースは、見た目の濃さに違わず、実にビター。甘さを抑え、焦げの香ばしさや玉ねぎの滋味が主役を張る設計で、大人の洋食という言葉がぴったりだ。 ハンバーグは、肉汁ブシャー系ではなく、みっちり詰まった肉感重視。噛むごとにじわりと旨味が広がる、地に足のついた味わい。ご飯に合わせるための構成という印象が強く、実際に「ライス」との相性は言うまでもない。ソースがしみた白米をかきこむたびに、なんとも言えぬ満足感がこみ上げてくる。 こ料理の構成や味わいは、ごくシンプルで丁寧。素材の風味と手仕事による積み重ねが感じられ、時間の経過とともに育ってきた味の深みがある。地元の食文化を支えてきた背景が自然とにじむ『洋食キムラ 野毛店』。日常の中で静かに息づく一軒として、記憶に残る存在だった。ご馳走様でした。 — 洋食キムラ 野毛店045-231-8706神奈川県横浜市中区野毛町1-3https://tabelog.com/kanagawa/A1401/A140102/14000046/