2025.07.27 昼 喜多方ラーメンを代表する一杯。@坂内食堂 ラーメン・つけめん 喜多方・西会津・只見 〜999円 ★★★★☆ 喜多方ラーメンを語るとき、その中心に必ず名が挙がるのが『坂内食堂』。昭和33年創業、半世紀以上にわたりこの地の味を守り続ける老舗だ。喜多方には今や約120軒ものラーメン店が並ぶが、その中で坂内は“御三家”の一角として揺るぎない存在感を誇る。休日ともなれば行列は30人を超え、暖簾をくぐるまでの時間さえ、この街を訪れた者にとっての儀式のようだ。 席に着けば、迷う理由はない。看板メニューの「肉そば」を即決。丼が目の前に置かれた瞬間、圧倒されるのはそのビジュアル。表面を覆うチャーシューの枚数、その迫力は“肉の風景”と呼びたくなるほどだ。脂身はスープの熱でとろりと溶け、赤身はほろりと崩れる。噛むと、脂の甘みと肉の旨味が舌の上で重なり、スープに溶け合うことで一体感を生む。食べ進めるほどに丼全体が深みを増す構成も、計算されたものだろう。 スープは黄金色の豚骨清湯。煮干しと野菜の旨味を重ね、ラードでコクを引き立てる。飲み進めても重さを感じさせず、それでいてしっかりとした満足感を残すのは、素材の引き出し方にブレがないからだ。 そして麺。この店の魅力は、多加水の平打ち縮れ麺にある。水分を多く含ませることで生まれるもっちりとした食感と、つるりとした滑らかな口当たり。スープをまとわせながら、一本一本が確かな存在感を放つ。この「弾力と喉越しの共存」こそ、喜多方ラーメンのDNAだ。 この丼を前にすると、喜多方ラーメンという食文化そのものの価値が、ぐっと引き上げられていくのを感じる。ここを知らずに、喜多方を語ることはできない。ご馳走様でした。 — 坂内食堂0241-22-0351福島県喜多方市字細田7230https://tabelog.com/fukushima/A0706/A070601/7000007/